育成指名の野手が支配下登録される確率は30人に1人
田西と同じような理由で高卒プロを避けたのが青森山田の大型二塁手・蝦名 翔人内野手だ。
「はっきりとは決まっていませんが、今のところ大学進学してプロを目指すことになるかなと思います。高卒の野手がすぐにプロで通用するということがないので、大学で下積みをしてから勝負したいと思っています」
蝦名翔人(青森山田)
蝦名も木製バットでは非常に鋭い打球を打っていた選手で、大型セカンドとして可能性を感じるが、4年後に勝負をかけようとしている。
一方、選手を送り出す高校側も支配下指名が基本線で、育成はNGという考えの学校が多い。名門大とつながりのある強豪校は特にその傾向が強い。センバツベスト4の健大高崎の青柳博文監督は、あるスカウトから育成指名野手の大成率の低さを聞いて、支配下指名を前提にするようになったという。
「知り合いのスカウトから聞いたのは育成野手30人中、支配下登録できるのは1人ぐらい。それぐらい野手は厳しい確率だと聞きました。投手は10人に1人ぐらいとまだ昇格できる確率は高いようですね。私は育成だとあまり行かせたくないです」
12球団のスタメン野手を見ても、ドラフト上位が中心だ。大学、社会人出身者は下位指名からでも大成する選手はいるが、育成野手から主軸を打つ選手はレアケース。このような結果を見ても高校生野手の高卒プロ志望が少なくなるのは自然の流れだろう。
プロで活躍するためのハードルは年々高まっているが、どんな情勢になっても高校生たちが今後の野球界を担う宝であることは間違いない。
大学経由して、現実的な判断をした選手にも、高卒でプロに挑戦する選手たちにも輝く未来が訪れることを期待したい。