News

センバツ21世紀枠候補・大洲(愛媛)実力上位校を撃破した合言葉は「知行合一」

2024.01.25


2023年12月14日に21世紀枠四国地区表彰を受けた大洲

第96回選抜高校野球大会(以下・センバツ)の出場全32校が、いよいよ1月26日に発表される。21世紀枠は17年ぶりに地区別候補9校中2校選出へと戻るが、四国地区では愛媛県立の大洲が初の地区候補推薦を受けた。

学校は、冬場に幻想的な風景が繰り広げられる肱川あらし、鵜飼や鰻料理など観光・商業都市の1つ、愛媛県大洲市の中心街に位置する。1901年、旧制宇和島中大洲分校として創立された伝統校だ。OBに2014年ノーベル物理学賞受賞の中村 修二博士などを輩出し、南予地区屈指の進学校として知られている。

大洲中時代の1928年(昭3)、四国内全登録校が一堂に会した夏の四国大会では徳島商、城北中(高知小津・前身の1つ)に競り勝ち準決勝に進んでいるが、春夏通じて甲子園出場経験はない。主な野球部OBには強打の内野手として1997年にヤクルトからドラフト4位指名を受けた大山 貴広や、拓殖大を経て現在・シティライト岡山で3シーズン目を迎える左腕・大谷 亮斗投手がいる。

現在の部員数は2年生18人(うち女子マネージャー1人)、1年生10人(うち女子マネージャー2人)の計28人。チームを率いる、就任3年目・35歳の黒木 太雄監督(松山東OB)は、これまで今治西新居浜商で副部長・部長職を歴任し、今治西時代の2015年には代行監督としてセンバツ1勝をマークしている。

チームは、昨秋愛媛県大会で8強入りしたが、大きなターニングポイントとなったのは北宇和戦。夏の愛媛大会・伊予農戦で15奪三振の快投を演じた左腕・佐々木 了投手(2年)ら、ポテンシャルが高い選手をそろえる北宇和との本戦代表決定戦に勝利したことだった。

この大一番を前に、黒木監督は北宇和・佐々木投手のクイックに難がある点を見抜き、試合前に「積極的に盗塁を仕掛けていこう」と指示。これに対し選手たちは2番・神岡 友将内野手(2年)の3盗塁をはじめ、計13安打6盗塁と見事な攻略で6対2で快勝した。結果的に5回コールドの7対17で敗れた準々決勝の小松戦でも、3回に打者13人を送り込み7点を先制している。伊予大洲藩に仕えた時期を持つ陽明学者・中江 藤樹の唱えた「知行合一」を伝統的教条とする同校の教えを体現し、実力上位を攻略する確かな力を持っている。

中心選手は1番・川元 悠太外野手(2年)から神岡、主将の大野 航太郎内野手(2年)、今宮 颯斗内野手(2年)と続く上位打線。この4人は、いずれも昨秋公式戦4割前後の打率をマークし、公式戦チーム打率も.384。また、左腕エースの宮内 隆乃介投手(2年)は球速こそ130キロに満たないが、低めへの制球と多彩な変化球を操り、公式戦20回を投げて22奪三振をマーク。防御率こそ5.05だが、県大会1回戦では野村を6回完封(コールド勝ち)している。

大野主将は「このチームは昨年から投げている宮内を中心に、守備からしっかりして点につなげていく特長がある。小松戦では流れを変えるプレーができなかったので、この冬はそこを修正する部分と、秋に良かった打撃をウエートトレーニングでさらに力強くすることに取り組んでいます」と語る。

「どんな相手でも挑戦者らしく粘り強く」をモットーとする大洲は、長浜の浜辺清掃などの地域貢献活動や、夏の愛媛大会上位進出も見据えた鍛錬の日々を過ごしつつ、26日の運命の日を待つ。

【関連記事】
【センバツ21世紀枠】出場2枠は鶴丸と別海がリードか!? 田辺と仙台一が追う 最終候補9校出揃う

この記事の執筆者: 田中 裕毅

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!