準決勝 高田商 vs 天理
<第105回全国高校野球選手権奈良大会:高田商10-7天理>◇26日◇準決勝◇佐藤薬品スタジアム
2020年の独自大会を含めると4年連続で夏の準決勝での対戦となった天理と高田商。2020年と昨年は天理、一昨年は高田商が勝利しており、今年も最後までわからない大熱戦が繰り広げられた。
天理はエース左腕の中川 輝星投手(3年)が先発。しかし、大会を通じて状態が上がっておらず、この日も苦しい投球を強いられる。
高田商は1回、連打で無死一、二塁のチャンスを作ると、3番・米田 真浩内野手(3年)の中前適時打で1点を先制。さらに相手の失策で1点を加え、幸先良く2点を奪った。
高田商は2回にも無死満塁と中川を攻めると、2番・山中 竜真内野手(3年)が2ランスクイズを決めて追加点を挙げる。さらに1死二、三塁から4番・竹中 大曜外野手(3年)の中犠飛でリードを5点に広げた。
序盤に大量リードを奪った高田商だが、「必ず追い上げてくると思っていました」と赤坂誠治監督が言うように天理が反撃を見せる。2回、この回先頭の5番・藤原 凪秀外野手(2年)が左翼にソロ本塁打を放つと、9番・上田 莞丸外野手(3年)の適時打と1番・下林 勇希内野手(3年)の中犠飛ですぐさま2点差に詰め寄った。
天理は3回からリリーフした2番手の嶋川 雄大投手(3年)が好投を見せて流れを引き寄せると、5回に暴投で1点差とすると、2死二塁から藤原の左前適時打で同点に追いついた。
追いつかれた高田商だが、6回に「僕自身もビックリしました」と振り返る1番・東口 虎雅外野手(3年)の公式戦初本塁打となる左翼へのソロ本塁打で勝ち越しに成功。対する天理はその裏、無死二、三塁から9番・上田 莞丸外野手(3年)の2点中前適時打で逆転し、この試合で初めてリードを奪った。
ここで高田商は先発の宮武 大輝投手(3年)を左翼手に回して、仲井 颯太投手(2年)に継投。天理も7回から3番手としてマウンドに上がった麻田 悠介投手(2年)が好投して、天理が1点リードのまま試合は最終回を迎えた。
1点を追う高田商は9回、先頭の竹中が右中間への二塁打で出塁すると、続く仲井も中前安打で続き、無死一、三塁にチャンスを広げる。ここで打席に立つのは主将の北嶋 悠輝捕手(3年)。昨夏の天理戦で最後の打者になっていた北嶋は「意地でも同点にしようと思っていた」と執念で右前適時打を放ち、同点に追いついた。
さらに高田商は犠打で1死二、三塁とすると、宮武大の代打に双子の弟である宮武 晃希内野手(3年)を送り込む。本来は三塁手のレギュラーながら右肘を痛めて控えに回っていた宮武晃は「初球から振ろうと思っていた」という言葉通りに初球を中前に弾き返すと、二者が生還して勝ち越しに成功。高田商はさらにもう1点を加え、3点リードで9回の守りに入った。
9回の天理は走者を1人出したが、無得点に抑えられ、試合終了。高田商が逆転勝ちを収め、2年ぶりの決勝進出を果たした。
「『初球から打て』と言ったところは打ってくれましたし、追い込まれてからもしっかり打ってくれて、生徒らの打撃力が上がったと実感しています」と9回の逆転劇に感心しきりだった赤坂監督。昨秋の近畿大会で8強入りして今春のセンバツ出場が有力されていたが、惜しくも落選。その悔しさを力に変え、実力で甲子園をつかむまで残り1勝に迫った。
「しっかり自分たちの野球をすれば勝てると思うので、そこをしっかり貫き通して、最後は笑って甲子園に行ければ良いと思います」と決勝に向けての意気込みを語った北嶋。60年ぶりの夏の甲子園を目指して集大成の戦いに挑む。