津商と三重、これを春季大会優勝のいなべ総合や津田学園、海星が追う
昨夏から3大会連続で準優勝している津商か、3年連続優勝を狙う三重が双璧。この両校を、春季県大会で7年ぶり4度目の優勝を果たしたいなべ総合と春季大会でベスト4に残った津田学園と海星あたりが追うという展開になりそうだ。
7年ぶりに春季県大会を制した、いなべ総合の尾崎英也監督は、「このところちょっと低迷しかかっていただけに、この優勝は正直嬉しいし、チームにとっても自信になっていくはず」と、語っていたが、高田 陽聖投手(3年)と中村 圭佑投手(2年)、水野 陸翔投手(3年)らの投手陣に関しては、手ごたえを感じているようだ。
内野手の潜在能力としては群を抜いているという石垣 諒馬内野手(3年)が攻守で引っ張っていくが、鈴鹿と四日市商の勝者との初戦をいい形で戦うことができれば、皇學館と当たりそうな準々決勝、津田学園との対戦となる可能性が高い準決勝までは勝ち上がっていきそうだ。
津田学園の佐川竜朗監督は、「この年の代はコロナのクラスターがあったということもあって、大事な時期にしっかりと練習が積めていないという気の毒なところもありました。それでも、みんな真面目に一生懸命にやってきてここまで来られた」と、春季大会のベスト4になった時に語っていた。そして、ここから夏へ向けて、チームとしては守りの精度を上げていくなど、春季大会で見つかった課題を調整していっている。
このゾーンには、いなべ総合のライバル的存在となっている菰野も入っているが、菰野は今春も2回戦で宇治山田商に大敗しているように、やや低迷している。むしろ、第5シードとなっている松坂商の存在が気になるところだ。
津商と海星が第2、第3シードとなっている反対ゾーンでは第5シードに三重と、宇治山田商が入っている。
初戦のカードとしては、昨夏の代表校三重に好投手の中山 勝暁投手(3年)が注目されている高田と当たる試合が注目される。三重は、今春は準々決勝で津商に完封負けしたが、昨夏の経験者の高山 亮太捕手(3年)や野田 泰市外野手(3年)らを中心にチーム力は高い。2年生の田中 聡真内野手も野手としての能力は高い。この試合の勝者が準々決勝では津商と当たることになりそうだ。
津商は、このところ毎大会のように決勝に進出しているように安定している。右スリークォーターの松田 空知投手(3年)は腕の出どころがトリッキーで、初めて対戦する打者は打ち辛そうだ。そして、4番の樋尾 龍誠捕手(3年)は強打者だ。また、2018年に白山を甲子園へ導いた東拓司監督が異動した昴学園の戦いぶりも気になるところである。
宇治山田商は打撃力も高く評価されている前田 拓音投手(3年)と小泉 凪璃捕手(3年)のバッテリーに期待がかかるが、準々決勝で海星に当たるまでには初戦の鳥羽、さらには津西もしくは近大高専などを退けなくてはならない。
第3シードの海星は機動力を生かした野球が特徴となっているが、森下晃理監督は、「県内の学校には絶対に負けられない」という思いでチームづくりをしてきたという。春季県大会では仲野 琥太郎投手(3年)に続いて左腕・服部 泰河投手(3年)が成長したことも心強い材料だ。最初のヤマとなるのは、昨秋のベスト4で21世紀枠代表候補となった木本と当たりそうな3回戦だろう。木本は榎本 和真投手(3年)の出来にかかる。
(文/手束仁)