健大高崎vs土浦日大
健大高崎エースの登録抹消も、22年度の中学生No.1左腕、144キロマークの本格派右腕と1年生が力投!最後は逆転サヨナラ
石垣 元気と佐藤 龍月
<春季高校野球関東大会:健大高崎6-5土浦日大(延長10回タイブレーク)>◇21日◇2回戦◇横須賀スタジアム
健大高崎(群馬)vs土浦日大(茨城)の一戦。投打ともにレベルが高く、全国大会レベルの試合内容だった。延長タイブレークまで及んだ熱戦は、健大高崎が逆転サヨナラ勝ちを収めた。
健大高崎は今春の群馬大会準決勝、前橋育英戦で18奪三振を記録した小玉 湧斗投手(3年)が故障の影響で登録抹消。その関係もあってベンチ入りしたのは22年度の中学生No.1左腕と呼ばれた佐藤 龍月投手(1年)と、145キロ右腕の石垣 元気投手(1年)だった。2人とも県大会決勝で好投。青柳監督はその投球を見て、この日の登板を決めたという。
先発したのは多田 結祐投手(3年)。総合力の高い投手で、常時135キロ〜130キロ台後半を計測し、スライダーも120キロ前半を記録していた。しかし、やや球が高く、投球のリズムも悪く、2回に2失点して降板。球の勢いは悪くなかっただけに、全国レベルの対応力を誇る土浦日大打線相手に公式戦で投げられたのは、いい経験になったといえる。
そして3回からは佐藤が登板したが、予想通りに1年生とは思えない投球を見せた。クロス気味に踏み込んで投げる直球は、常時130キロ台後半をマーク。140キロを度々超えるなど、明らかにレベルが違った。120キロ前半のスライダーの切れ味もよく、大阪桐蔭(大阪)の前田 悠伍投手(3年)の1年生時と比較しても遜色ないほどの力量があった。クロスに食い込む直球は見事というしかなかった。
ただ5回に2失点を喫した。佐藤は「変化球でストライクをしっかりと取ることができず、どうしてもストレートでストライクを取りに行ったところを打たれてしまったのが反省点です」と打たれた要因を明確に答えていた。課題をしっかりと認識している感じがあり、ピッチングを見ていても落ち着きがあった。次回はしっかりと抑えるのでは、と期待感をもたせる内容だった。
力投を見せる投手陣に応えようと、打線は5回裏、2番・狩野 陸人内野手(3年)と3番・森田 光希内野手(3年)の連続適時打で4対3と1点差に迫る。
6回からは石垣が登板。北海道出身の投手で、健大高崎に進学した理由について「もともと道外に行きたいと思っていたのですが、誘いがあったのは健大高崎でしたので、進学を決めました」と語る。
右オーバーからの直球は140キロ〜144キロで、勢いがあった。バランスよく真上から振り下ろす投球フォームには無駄なところがなく、高校1年生としては申し分ない。安定して140キロ台を投げるなど、見ていてワクワクしかない。
さらに変化球も115キロ前後のチェンジアップと110キロ強のスライダーは、いずれも精度が高く、2年後にはドラフト候補として注目される可能性を十分に秘めている。
「短いイニングでしたので、とにかく全力で腕を振ることを意識しました」と全力投球を心掛け、無失点に抑える好投を見せた。
9回から登板した加藤 達哉投手(3年)も力投した。直球は140キロを計測し、勢いある直球で押していた。延長10回表、勝ち越し打こそ許したが、フォームのバランス、直球の切れはよく、青柳監督も成長していると評価していた。
10回裏、健大高崎は増渕 晟聖外野手(3年)の2点適時打でサヨナラ勝ちを決めた。エース小玉がいない中でも4投手を試しながらの劇的勝利。投手層の厚さを示した結果となった。
(取材=河嶋 宗一)