試合レポート

浦和学院vs西武台

2023.05.03

打線好調の浦和学院、西武台に打ち勝ち準決勝へ!!

浦和学院vs西武台 | 高校野球ドットコム
浦和学院・三井雄心2ランホームラン

<春季高校野球埼玉県大会:浦和学院11-5西武台>◇30日◇準々決勝◇県営大宮

 はっきりしない天気の中行われた[stadium]県営大宮球場[/stadium]の第2試合は、Aシード・浦和学院とプロ注目・金田 幸大(3年)を擁し打力がウリな西武台との一戦である。

 まずスタメン、浦和学院昨秋から大幅にメンバーチェンジした。まず固定できなかった正捕手に秋2番の篠塚 大雅(3年)が入り6番、2番には月山 隼平(2年)が入る。3番に濱野 裕真(3年)、4番に喜屋武 夢咲(3年)が入り、秋4番の三井 雄心(2年)が5番に回る。7番には1年生の西田 瞬が入り、9番には西田 和大(3年)が入る。一方の西武台も秋2番の神杉 勇波(2年)、秋6番の塚本 悠真(3年)が外れ、1番・渡邉 楽意(3年)、2番・太田 誉(3年)、5番・佐々木 恒樹(3年)、7番・松尾 怜真(3年)が入るという布陣になる。

 先発は浦和学院が2年生右腕・鈴木 由馬、一方の西武台も2年生エースの大竹 悠太が先発し試合が始まる。

 先制したのは西武台であった。

 西武台は初回、浦和学院・鈴木を攻め立て、先頭の渡邊が死球で出塁すると、続く太田も四球を選び無死一、二塁とする。さらに3番・金田もファースト強襲ヒットを放ち無死満塁とする。ここで続く杉本 誉士(3年)がレフト前へタイムリーを放ち1点を先制する。西武台はなお、無死満塁と攻めるが、後続が倒れ無得点に終わる。

 試合の流れを考えると、初回の攻防がその後の展開に大きく影響する。

 浦和学院はその裏、西武台・大竹の立ち上がりを攻め、二死から3番・濱野が右中間へ三塁打を放つと、続く喜屋武の所で相手ワイルドピッチによりすぐに同点とする。

 浦和学院は3回裏にも、先頭の小林 聖周(3年)がセーフティーバントを決め出塁すると、続く月山がきっちりと送り一死二塁とする。さらに3番・濱野がレフト前ヒットを放ち一死一、三塁とすると、続く喜屋武がきっちりと犠飛を放ちまず1点、さらに5番・三井が右中間へ2ラン本塁打を放つなど、浦和学院はこの回3点を奪い4対1とする。

 だが、打撃には自信を持っている西武台もすぐに反撃を開始する。

 西武台は4回表、この回先頭の土田 浩次郎(3年)がショートゴロエラーで出塁すると、続く松尾がライト前ヒットを放ち、無死一、二塁とする。さらに一死後、相手のボークで一死二、三塁とチャンスを広げると、代打の森内 諒(3年)がレフトスタンドへ値千金の3ランを放ちすぐに4対4の同点とする。

 だが、ショートを守っていた金田が前の回の死球の影響もあり一旦ライトへ回る。その流れで内野は大きくシャッフルされる。

 すると同点とされた浦和学院はそこに早速つけ込む。その裏、一死から9番・西田和がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く小林のサードゴロが相手の送球エラーを呼び一死一、三塁とする。ここで、2番・月山がセーフティースクイズを敢行する。これが相手のフィルダースチョイスを呼び、さらに一走・小林が一気に三塁を奪う好走塁を見せ再度一死一、三塁とする。二死後4番・喜屋武がセンター前タイムリーを放ち6対4とする。

 この場面、金田は喜屋武と三井の時に極端なシフトを敷いていたが、自分がいない間徹底できなかったことを受け再度ショートへ戻る。


 西武台は5回表、浦和学院の2番手・2年生左腕の美濃川 湊に対し、この回先頭の金田が一塁線を破る二塁打を放ち出塁すると、一死後、途中出場の内野 瑠唯(3年)がライト前ヒットを放ち一死一、三塁とチャンスを広げる。すると続く土田の所で西武台ベンチはエンドランを仕掛ける。これが決まりすぐに1点差とする。

 だが、浦和学院は6回裏、この回先頭の西田和がショートへの内野安打を放ち出塁すると、続く小林がきっちりと送り一死二塁とする。ここで2番・月野がセンター前タイムリーを放ち7対5とする。

 浦和学院は7回裏にも西武台の2番手・左腕の大野に対し、この回先頭の篠塚がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く伊藤がセンター前ヒットを放ち一死一、三塁とする。ここで、西武台ベンチが大野から3番手・大山へスイッチすると、その代わり端、9番・西田和の所で、浦和学院ベンチはセーフティースクイズを仕掛けまず1点、さらにここから小林、月山、濱野が3連続長打を放つなどこの回4点を奪い試合の大勢は決した。

 投げては6回から登板した3番手・左腕の伊藤 充輝(3年)、最終回は4番手・MAX144km右腕の田中 樹人(3年)がきっちりと抑える。

 結局、浦和学院が粘る西武台を振り切り、準決勝へ駒を進めた。


 まずは西武台、打線はこの日も持ち味を十二分に発揮したが、できれば初回で一気に流れを持ってきたかったであろう。それだけに無死満塁を逸したのは大きかった。また、昨秋から続く投手陣の部分についても先発の大竹はよく投げたが、まだ2年生。強豪相手に最後まで投げ切るのは難しい。そうなると、その後の継投ということになるが、左腕の大野や大山が鍵を握ることになりそうだが、今日の試合を見る限り、
「今日の試合はアクシデントが多かった。元々本来のスタメンで出ていない選手もおり、大竹は直球で勝負できる。これまでも大竹-大山と繋ぐと捉まることが多かったので大野を挟んだんですが。また考えます」(河野監督)
と、順番は変更になりそうだ。

「肩はパンパンに腫れましたがやるしかないと思って。一度外野に回ったんですが、シフトの部分が徹底できなかったので志願して戻りました。打撃は6回のチャンスで伊藤君から打てなかったので実力不足。大会序盤は噛み合わない部分もありましたが、今日は浦和学院さんに挑めたので良い収穫。うちの代は投手力が弱いんですが、大山は今日悔しい想いをしていると思うので夏期待したい。高卒プロは夢なので目指したい」(金田)
 これで4季連続のベスト8となったプロ注目・金田を擁する西武台。何か一つブレイクスルーしたい所であろう。

 一方の浦和学院も前の試合に引き続き試合時間が3時間とやや大味が試合になってしまった。初回を最小失点で切り抜けたのが大きかった。昨秋は投手陣がチームを引っ張る形であったが、一冬を越し打線に力強さが増し、その結果、現在は打線がチームを引っ張る形となっている。
「また、長い試合になってしまいました。今大会のテーマが投手陣の底上げ。3ランの所は自分がインコース行けと言ったんですけど甘くなってしまいました。今は色々な投手に経験させている所。田中は前回登板よりだいぶ良くなった。打線は打てるのはもちろんですが、バントができるので。今大会は『野手が投手を育てろ』と選手に言っている」(森監督)
と、パワーアップした打線を活かし、投手陣に関してはある程度想定内で割り切って臨んでいる。

「冬場は下半身の強化をしてきて飛距離は伸びた。状態はあまり良くはないです。ホームランは打てて良かったですが、その後は力んでしまって凡退したので、次戦はリラックスして臨みたい。自分が一番経験はしているので他の1,2年生を引っ張っていきたい」(三井)

「冬場の怪我で練習に参加できない時があって出遅れましたが、今は大丈夫です。冬場にフォーム改造などもしてみたんですがしっくりこなくて、元に戻しました。この2試合投手陣が打ち込まれるシーンが多く、準決勝以降は自分達も野手を助けられるように」(田中)

 まだまだ進化の過程である浦和学院。夏までにさらに強くなりそうだ。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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