試合レポート

仙台育英vs沖縄尚学

2022.11.19

神宮でも「逆転の仙台育英」!9回に4点差ひっくり返し劇的サヨナラ勝ち

仙台育英vs沖縄尚学 | 高校野球ドットコム
サヨナラ勝ちした仙台育英

<第53回明治神宮野球大会:仙台育英5-4沖縄尚学(9回サヨナラ)>◇19日◇高校の部・準々決勝◇神宮>

 神宮の地でも、「逆転の仙台育英」は健在だった。0対4で迎えた9回、沖縄尚学のエース・東恩納 蒼投手(2年)を攻め同点とすると、なおも1死二塁で打席には4番・齋藤 陽外野手(2年)。前の打席まで4打席連続で凡退していたが、この打席では変化球を捉え、打球は中堅手の前へ。最終回に4点差をひっくり返す鮮烈なサヨナラ劇で、4強入りを決めた。

 甲子園Vの仙台育英(東北・宮城)と、攻守ともにハイレベルな沖縄尚学(九州・沖縄)。注目の一戦で先手を取ったのは、沖縄尚学だった。試合開始直後、1番・知花 慎之助外野手(2年)が仙台育英先発・湯田 統真投手(2年)の初球140キロ直球を弾き返し、痛烈な打球を飛ばす間に二塁に到達。犠打で2死三塁と好機を広げると、4番・仲田 侑仁内野手(2年)が外角高めの直球を右前に運び、先制点を奪った。

 4回は1死から連打を浴びせ、湯田をマウンドから降ろす。その後、満塁とし、8番・糸数 幸輝外野手(2年)は貴重な2点適時打をマーク。代わったエース・高橋 煌稀投手(2年)が投じたこの日の最速144キロ直球を、臆することなく打ち返した。5回には宮平 良磨内野手(2年)の適時打が飛び出し4点差に。優勝候補筆頭と目される仙台育英相手に、着実にリードを広げた。

 一方の仙台育英打線は、琉球の好投手・東恩納に苦戦。直球は140キロに満たないものの球威があり、カーブやツーシームなどの変化球も冴えた。8回までに5度得点圏に走者を進めるもあと1本が出ず、本塁が遠い時間帯が続いた。

 完封負けも現実味を帯びてきた9回、先頭・仙台育英濱田 大輔外野手(1年)が左前打で出塁する。その後、敵失や山田 脩也内野手(2年)の適時二塁打で2点を奪うと、1死二、三塁の場面で1年生ながら3番に抜擢された湯浅 桜翼内野手(1年)が適時打を放ち同点。最後はここまで一ゴロ2つ、邪飛2つとタイミングの合っていなかった齋藤が意地を見せ、試合を決めた。

 仙台育英の須江 航監督は、「東北大会までピッチャーにおんぶに抱っこだったが、今日は野手がひっくり返してくれた。野手の成長を頼もしいというよりすごいと感じた」と攻撃陣を褒め称えた。また「ビッグイニングを作らせなかったのも大きかった」と守りも評価。3回は1死一、三塁の場面で三塁手・寺田 賢生内野手(2年)がうまく反応し併殺打を完成させ、8回は2死二、三塁のピンチで左翼手・濱田が抜ければ長打になる当たりを好捕した。湯田、高橋、仁田 陽翔投手(2年)の粘投とバックの堅い守りで、12安打を浴びながらも4失点にとどめたことが勝利につながった。

 沖縄尚学は敗れたものの大健闘。比嘉 公也監督は「スピードのある球やキレのある変化球を見極め、振り負けなくなったことは成長」と振り返った。また東恩納は8回まで0を連ね、1人で145球を投げ切る熱投を披露。出場が有力視される来春のセンバツに向けては、「少ない球数で9回を投げきれる体を作りたい」と意気込みを語った。

(取材=川浪 康太郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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