山村学園vs市立船橋
山村学園が好投手複数擁する市立船橋に12得点!強打を発揮するマインドとは?
本塁打を打った坪井(山村学園)
<春季関東地区高校野球大会:山村学園12-2市立船橋(7回コールド)>◇22日◇2回戦◇[stadium]宇都宮清原[/stadium]
春の県大会で花咲徳栄を下した埼玉2位・山村学園が、千葉1位・市立船橋相手にも圧倒した戦いで勝利した。
1回表、1死一、三塁のチャンスで4番・酒井 大輝外野手(3年)が左中間を破る適時二塁打で2点を先制。市立船橋の141キロ右腕・坂本 崇斗投手(3年)の出鼻をくじく見事な先制パンチだった。
1、2回に1点ずつ失い、同点を許したが、3回表、市立船橋の2番手、エース左腕・森本 哲星投手(3年)にも襲い掛かる。3番・坪井 蒼汰内野手(3年)の中前安打でチャンスメイクし、6番山田 浩太捕手(3年)の適時打で勝ち越し。そして7番塙 光浩外野手(3年)も適時二塁打を放ち、9番小栗 陸斗内野手(3年)の左前適時打でこの回4点目。6対2と突き放す。
さらに4回表には主砲・坪井が打った瞬間、右腕を突き上げ、本塁打と確信する左翼席へ飛び込むソロ本塁打で7対2。森本の攻略にも成功した。
森本攻略のために、岡野監督はOBである和田 朋也投手(桐蔭横浜大)、佐々木 大輔投手(鷺宮製作所)に打撃投手役を依頼。2人はオフの日にグラウンドに足を運び、打撃投手を務めてくれた。切れ味鋭い直球と変化球を至近距離から打ち続ける練習をしてきた成果が実った。
6回表にも、5番千葉 智也内野手(3年)の適時打で1点を追加し、7回表には小栗のスクイズで1点を追加し、さらに3番坪井がこの日、2本目の本塁打をマーク。低めの球を拾う形で振り抜くとポール直撃の3ランとなり、12対2と大きく点差をつけた。
坪井は今回の2本で高校通算32本塁打に達した。177センチ、80キロと恵まれた体格を生かし、無駄のないパワフルなスイングで長打を飛ばす。三塁守備でも強肩が光る。高卒プロを狙っている坪井は岡野監督から「関東大会でアピールするしかないぞ」といわれたが、それを重荷にすることなく、結果を出した。
結局、7回コールド勝ちで山村学園が準々決勝進出を決めた。
17安打12得点。千葉県内では投手力の高さはトップクラスと呼ばれた市立船橋から猛打
3番サード・坪井 蒼汰(山村学園)
森本対策が実ったとはいえ、山村学園の打者陣のスイングの鋭さは、明秀日立、浦和学院にひけをとらないものがある。岡野監督は「強く振る。そのことにこだわってずっと練習してきました」と語る。
さらに、ストライクの見逃しが少なかった。この試合、初球から果敢に振っていた。実はこちらも決まり事がある。
「2回、空振りしていいと伝えています。待つのではなく、振る。三振になってもいいので、思い切って振ってほしいと思っています」(岡野監督)
坪井は「3回振るつもりでやっていて、三振は全然恐れていないです」と語る。
山村学園のレギュラー陣はストライクゾーンを強く振る意識と、反応して打ち返す技術が備わっている。このマインドによる打撃は一朝一夕では完成せず、時間を掛けてじっくり作り上げてきたのが分かる。
すべては夏のため。山村学園は関東大会もステップアップの場と捉えている。投手力が高いとされる次の相手、作新学院(栃木)にも、もちろん全力でバットを振る。
(記事:河嶋 宗一)