試合レポート

立教大vs早稲田大

2022.05.15

最速148キロ右腕が快投 龍谷大平安OBの好投で立教大が優勝の望みつなぐ

立教大vs早稲田大 | 高校野球ドットコム
立教大先発・島田直哉

<東京六大学野球春季リーグ:立教大7-3早稲田大>◇2回戦◇15日◇神宮

 1回戦に続き、立教大が2戦目も早稲田大を下して、勝ち点を奪取。優勝に望みをつないだ。先発マウンドを託された最速148キロ右腕・島田 直哉投手(4年=龍谷大平安)がその立役者となった。

 今季2度目の先発のマウンドで最多となる5.2回を投じて4奪三振、2失点と先発にふさわしいゲームメイクで、後続の投手陣にバトンをつないだ。

 セットポジションから勢いよく左足を上げると、滑らかな体重移動で着地。下半身の動きに連動させてテークバックもスムーズにとると、鋭い縦回転にあわせて右腕を振り下ろした。

 140キロ中盤も計測する快速球も光るが、何よりこの試合で島田の投球を支えたのはスライダーだった。

 120キロ後半~130キロ前半で鋭く沈む球に、早稲田大打線が苦戦した。中盤から浮いてきたところを捉えられ始めたが、立ち上がりこそ三振はもちろん、カウントを稼ぐのにも使うなど、非常に効果的な球種だった。

 ベンチで見守った溝口監督は「制球力に不安がある投手ですが、今日はスライダーでストライクが取れたので、的を絞らせなかったと思います」と好投を見せた4年生右腕を称えた。

 龍谷大平安時代から注目された投手だったが、3年の春にケガに襲われ、最後の夏は甲子園出場も登板機会はなかった。立教大進学後も、1、2年生までリーグ戦デビューはなく、3年生の秋季リーグから登板機会が増えてきたが、規定投球回数には未だ届いていない。今回の登板で規定投球回まで残り3分の2回となり、自身初の規定投球回に手が届きつつある。それだけ主戦力としてチームを支えている証拠でもあるだろう。

 チーム事情を見ても、昨シーズンまで抑えとして活躍し、大学代表候補にも名を連ねた宮 海士投手(4年=国学院栃木)をこの試合では中継ぎに起用。代わりに「荘司(康誠)とともに計算できる」と溝口監督が賞賛する沖 政宗投手(2年=磐城)がリリーフに回るなど、2人を中心とした投手陣に安定感ができつつある。

「まだ不安ではありますが、良い傾向にはあると思います」と優勝争いに向けて島田の好投は、好材料になりつつある。

 試合は初回から島田を打線が援護。4番・山田 健太内野手(4年=大阪桐蔭)が適時打を放つなど2点を先取すると、2回、5回にも追加点を奪い、4対0とリードを広げた。

 リードをもらった島田は、6回に早稲田大4番・蛭間 拓哉外野手(4年=浦和学院)の一打などで1点を失い、2死までこぎつけたところで降板。リリーフ陣が後続を何とか断ち切って終盤へ。

 その後、立教大は7回に相手のエラーなどで3点を追加してダメ押しに成功して勝負あり。早稲田大を下して勝ち点を手にした。


早稲田大のドラフト候補は快音響かすも1安打のみ 伝統の一戦へ闘志燃やす

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早稲田大4番・蛭間拓哉

<東京六大学野球春季リーグ:立教大7-3早稲田大>◇2回戦◇15日◇神宮

 立教大の前に連敗という結果になり、勝ち点を落とした早稲田大。小宮山監督、主将の中川 卓也内野手(4年=大阪桐蔭)ともに守備面の改善を課題に掲げた。打線は9安打を集めるなど、立教大の10安打に匹敵する結果だっただけに、エラーによる失点が悔やまれた。

 注目の中川、そして蛭間 拓哉外野手(4年=浦和学院出身)はともに4打数1安打を記録。マルチ安打とはならなかったが、打席内容は悪くなかった。

 中川は、第1打席に7球粘った末に三振したが、島田 直哉投手(4年=龍谷大平安)のスライダーに食らいついた。続く2打席目は追い込まれてから低めへの変化球に対して下半身を柔らかく使い、チーム初安打をマークするなど、対応力の高さを示した。

 4番に入った蛭間は、6回にレフトへの二塁打で打点1をマークするだけに終わったが、その際も開きを抑えて、上手く反対方向へはじき返した。

 その後の4打席目もレフトライナーに終わったが、追い込まれてから最後は右手1本で打ち返したにもかかわらず鋭い当たり。存在感は際立っていた。

 とはいえ、チームは第6週が終わって5位。勝ち点は最下位の東大から挙げただけに終わっている。中川主将は、その点について危機感を感じており、「秋に向けても早慶戦で勝ち点を取って、実りのある春にしたい」と伝統の一戦に向けて決意を新たにした。

 蛭間も主砲として「チームを勝たせる一打を打てるようにしたい」と意気込みを語った。

 伝統の早慶戦は、5月28日、29日に開催予定だ。

(記事:田中 裕毅


早稲田大スタメン

1番(遊)熊田 任洋(3年=東邦
2番(二)中川 卓也(4年=大阪桐蔭
3番(三)中村 将希(3年=鳥栖
4番(中)蛭間 拓哉(4年=浦和学院
5番(右)吉納 翼(2年=東邦
6番(一)生沼 弥真人(3年=早稲田実
7番(左)松木 大芽(4年=金沢泉丘
8番(捕)印出 太一(2年=中京大中京
9番(投)中森 光希(2年=大阪明星)

立教大スタメン

1番(中)道原 慧(4年=駒大苫小牧
2番(遊)柴田 恭佑(2年=東明館
3番(左)宮﨑 仁斗(4年=大阪桐蔭
4番(二)山田 健太(4年=大阪桐蔭
5番(一)柴田 颯(4年=札幌第一
6番(捕)黒岩 陽介(4年=静岡
7番(右)吉岡 広貴(4年=広島広陵)
8番(三)佐藤 元(4年=福岡大大濠
9番(投)島田 直哉(4年=龍谷大平安

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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