東海大菅生vs明大明治
東海大菅生、投手リレーで勝利も打線が課題、明大明治・益山が奮闘
東海大菅生がベスト8進出をかけて、明大明治と対戦をしたが、苦戦を強いられることになる。
そこに大きく関わったのが、明大明治のエース・益山直己の存在だ。
177センチ65キロとスラリとした体格をしている益山だが、ゆったりとした投球フォームから、長い腕を活かした角度を付けたボールを投げ込む。大きく変化するスライダーを含めて、どのボールでも両コースへの投げ分けがきちんとできており、安心感のある投手だ。
組み立ては外角を中心に攻めている印象だったが、スライダーに加え、益山も投げていて効果を感じたというカットボールを効果的に使いつつ、時折インコースへのストレートを混ぜて、強力・東海大菅生に痛打をさせずに、フライアウトを増やした。
今年のチームが始まってから、自らピッチャーをすることを伝えたという。それまではピッチャー経験はほとんどなかったが、「コントロールには自信があります」と言うことから投手への挑戦を始めた。それまでサード、ショートでの起用が多かったこともあり、最初は野手投げに近い状態だったという。
ただ、冬場のランメニューやスクワットなどのトレーニングに取り組み、同時に投げ込みでは四隅を狙える制球力を磨いてきた。その最中で自然と現在のフォームにいたり、エースとして実力を磨き上げた。
バックの安定した守備もあり、明大明治は落ち着いた試合運びをすることができた。逆に東海大菅生はチャンスを作っても、あと一本が出せない歯がゆい攻撃となった。敗れたものの、この試合の中心選手として活躍したことは間違いないピッチングだった。指揮官の加藤監督も「頑張ってくれた」と労いの言葉を贈った。敵将である若林監督も「サイドスローで小気味よく、ウチの各打者が狙い球を絞れずに迷っているかんじでした」と評価していた。
その東海大菅生は4投手の継投による0封リレーで明大明治を封じた。なかでも選抜にはなかった新戦力、9番・金谷 竜汰の台頭が目立った。
明大明治戦は3打席全て出塁した。そのうちヒット1本、レフトスタンドへのホームランと9番として素晴らしい活躍で、存在感を放った。金谷本人も「1打席目はエラーをした後でしたので、何とか出塁して、1番に回そうと思って打席に入りました」と繋ぐ意識の中でレフトスタンドに公式戦初ホームランを放って見せた。
高校通算でも2本目だったというホームランだが、その後もヒットを放つなど優れた打撃技術を持つ。技術もさることながら、若林監督は「勝負強いバッティングが持ち味の選手です」と話しており、メンタル面でも強いものを持っており、対戦する相手にとっては非常に嫌な9番打者であることは間違いない。そんな金谷が参考にするのは、三冠王にも輝いた落合 博満さんだ。なんでも祖父の知り合いに落合さんがいるとのことで、参考にしているとのことだ。
また守備でも光るものがある。遠投95メートルを誇る強肩があり、スローイングは軽くスナップを利かせて投げても、鋭いボールを投げ込む。また、肩の強さを活かして、守備範囲を広げるために、通常よりも定位置を深くして、芝で守っていた。そのおかげもあり、三遊間に抜けようかという打球にも追いつき、余計な進塁を防ぐなど、攻守において光るものを見せた。
これまではベンチ入りする可能性があったものの、ベンチを掴むことが出来なかった。守備でのミスを減らし、バッティングでもチャンスで打てるようにするために、自主練習では壁当てや素振りなど攻守でチームに貢献できるように練習を積み重ねてきた。その成果が少しずつ開花しつつあるのだ。
若林監督は「まだまだ勝負しないといけない立ち位置です」と及第点は与えないが、まだ2年生ということを考えれば、確かにまだ及第点を与えるのは早いかもしれない。ただ、同級生の福原 聖矢や小池 祐吏、鈴木 泰成らとともに秋以降を牽引する選手として期待していい選手であることは間違いなさそうだ。
試合は2回に東海大菅生が7番・多井 耶雲の犠牲フライで先制すると、3回には9番・金谷のホームランで2対0とする。6回には6番に入った榮 塁唯のタイムリーなどで2点を追加して中押しすると、7回に3番・堀町沖永の犠牲フライでダメ押しの5点目を奪った。
守っては先発・多井から、櫻井 海理、松永 大輝、そして本田 峻也の4投手のリレーで明大明治打線をシャットアウトした。
結果だけ見ると、上手く試合運びができたように見えるが、「練習試合で出来ていたことがやれず、畳みかけたい時に冷静さを欠いていました」と若林監督は野手陣に課題を出した。その一方で投手陣に関しては「この展開なので、1点をやれなかったので継投は早めにしました」と小刻みなリレーの理由を話す。コメントと試合結果を考えれば、それぞれの投手が役割を全うしたといっていいだろう。
次戦は駒大高との対戦となるが、そこまでに打線が復調するか注目だ。
(取材=田中 裕毅)
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