幕張総合vs市立松戸
幕張総合対市立松戸の一戦は、12対1で幕張総合が圧倒。5回コールド勝ち
4番キャッチャー・村山亮介(幕張総合)
プロ注目のスラッガー・村山擁する幕張総合と好投手・瀧本 将生がどこまで対抗できるかに注目が集まったが、幕張総合打線が想像以上にプレッシャーを与えることができていた。
実際に瀧本はボールだけ見れば、好投手であることが十分に分かる。左腕を高々と掲げ、真っ向から振り下ろす投球フォームから投げ込む直球は120キロ後半〜130キロ前半の速球は威力があり、縦に鋭く落ちるスライダーのキレも良い。幕張総合の柳田大輔監督も「ボールを見て、試合は9回まで行くかなと思っていました」と接戦を想定していた。
しかし瀧本は制球が定まらない。結果2人を歩かしてしまい、練習試合から好調だった3番・正部が痛烈な左前安打を放ち、1点を先制。この一打で勢いに乗った幕張総合は、犠飛と内野ゴロの間に3対0とする。そして2回表も、打者10人の攻めで、6得点。9対0と突き放した。
幕張総合の攻めで素晴らしかったのは、じっくりと選ぶことができていたこと。制球に苦しむ瀧本相手に対し、9人で4四球とつないで点を重ねたことだ。エース降板をさせ、勢いに乗った幕張総合は結果的に10安打12得点と、5回コールド勝ちを決めた。柳田監督は村山が警戒され、前後の打者の打撃内容をこだわっていだけに、「出来過ぎな試合展開です」と選手たちをたたえた。
幕張総合は村山が注目されるが、前後の打者たちの打撃技術も素晴らしく、いわゆる手打ちではなく、腰を鋭く回転できた合理的な打ち方ができる選手が多い。その中でも3安打を放った正部 大成の潜在能力は素晴らしいものがある。普段は快活なキャラクターで、ナインからも慕われている正部。ただ打席に入ると、高い集中力でストライクゾーンに来たボールを次々と振り抜き、安打を記録している。幕張総合は冬場、緊急事態宣言の影響もあり、練習時間が短くなり、自粛期間もあったが、その中で柳田監督からティー練習の練習方法をレクチャーした動画を共有しあってきた。
春の練習試合から快打を連発し、3番に昇格。4月18日の成田との練習試合では本塁打を放ち、その勢いを持続していた。
そして投げては大会直前にアンダースローからオーバースローに転向した梅澤 恵大。成田との練習試合では130キロ前半の速球を披露しながらも、本塁打を浴びるなど、苦しいマウンドとなった。
先発・梅澤恵大(幕張総合)
千葉トップレベルの学校との対戦経験を活かし、この日は球速を抑え、常時125キロ〜130キロ半ばの直球、スライダー、カーブを投げ分け、リードする村山も「出会い頭で痛打されることが怖いので、配球面を気をつけた」と不用意にストライクを取るのではなく、ボール球を使いながら慎重に攻めていった。
攻守充実の幕張総合。目標とするBシードまであと1勝。次の相手は昨秋ベスト4の千葉英和を5回コールド勝ちを収め、優勝候補・中央学院だ。村山は「次は速球が速い細谷くんなので、振り負けないようにしたいですし、あとは点をかなり取っている打線なので、しっかりと守備を固めて臨んでいきたいと思います」
成田戦と比べると着実に内容は良くなっており、次戦も注目していきたいチームだった。
敗れた市立松戸は思わぬ大敗となった。瀧本はなかなかの好投手で、3番手の石原 裕太は身体能力が高く、130キロ近い速球を投げ込んでおり、この県大会では打率4割。スイングを見ても鋭く、1人1人の選手を見ると決して能力は悪くない。
ただ幕張総合の村山を中心とした打線の迫力に怖じ気ついたところがあり、もう少し攻める投球ができていけば、結果は変わっていたかもしれない。こうした野球の怖さを春に気づけただけでも良いかもしれない。いずれにしろ夏の進化を楽しみにしたい。
(取材=河嶋 宗一)