八王子vs都立町田
エース・羽田慎之介がバットで魅せる!同点&勝ち越し打の活躍で八王子が都立町田との投手戦制す!
勝ち越し打放った八王子・羽田慎之介
少し肌寒ささえ感じさせるなか、[stadium]八王子高校グラウンド[/stadium]で八王子と都立町田が激突。シートノックから機敏な動きを見せ、さらに各打者のスイングを見ても鋭い振りをしている選手が多く、個々の能力の高さを試合前から感じさせられた。
どういった野球を都立町田相手に見せるのか。注目のゲームは白熱の投手戦。それを成立させたのは都立町田・中森由と八王子・舘野智靖の両先発の持ち味を発揮した投球だった。
八王子先発・舘野は低めにボールを丁寧に集める投球が光るサウスポー。見ているとボールにはキレと重さを感じさせられ、質の高いボールだとわかる。そのストレートを内外、さらには高低にも投げ分けるストライクゾーンを広く使ったピッチングを可能にする制球力を持ち合わせた総合力の高さが際立つ。
加えて、鋭く曲がるスライダーに目線を外すカーブと多彩なボールを操る。特にスライダーには都立町田の各打者が対応しきれず、ストライクからボールに変化するボールに次々と空振りをしていた。
エース・羽田慎之介がいながら背番号19・舘野の起用したことについて、安藤監督は「一番コントロールが良いので、試合を作れる」と語り、舘野は安藤監督の期待に応える投球だったといえるのではないだろうか。
一方で都立町田先発の中森はセットポジションから動き出していき、真っすぐに足を上げてから下半身をしっかり使いながら重心を移動していく。右腕は回しながらトップの高さまで持ちあげて、縦回転に合わせるように振り下ろしていく。
スピンのかかった伸びのあるストレートを主体に八王子の各打者から空振りを奪っていく。また強気にインコースも使うことで、八王子の各打者はなかなか中森を捉えきれなかった。
先に動かしたのは都立町田。2回に四球で出塁した5番・清水響を一塁に置いたところで、6番・新川真之介が左中間へ運ぶ二塁打で先制する。新川はタイミングを取る瞬間に少しヒッチさせながらトップを作ってから大きなスイングをする。打順こそ6番だが、きっちりミートすれば飛ばす力を持っており、注意しなければならないスラッガーだ。
都立町田・中森由
この1点を八王子は追いかけて何度かチャンスを作るが、もう1本が出ない。都立町田・中森の丁寧な投球の前に6回までスコアボードに0が並ぶ事態となった。
八王子に暗雲が立ち込めてきたなかで迎えた7回、先頭の8番・舘野の二塁打と送りバントで一死三塁とチャンス。ここで八王子が仕掛ける。「元々打撃がよくて三振がない。あの場面は三振が一番嫌でしたので起用しました」という安藤監督の作戦のもと、代打・羽田を打席へ送る。
前の回から準備をしていたという羽田は、きっちりレフトへ犠牲フライを放ち、起用に応える活躍。八王子が同点に追いついて勢いづくと、9回も8番・舘野のヒットからチャンスを作って羽田のライトへの二塁打で勝ち越し。2対1とすると、舘野も9回をきっちり抑えてゲームセット。逆転勝ちで八王子が代表決定戦へ進んだ。
試合後、安藤監督は「公式戦は練習試合と違って、しっかりやらないと得点にならないことを苦労しながも勝って経験できたのは良かったです」と振り返りつつ「今のチームは力のある選手が多いので、飛ばそうとしてバットの出し方が良くなかったです」と反省点をあげた。
同点、そして勝ち越し打を放った羽田は、「犠牲フライの時は浅くて心配はしましたが、勝ち越し打の時は手ごたえ十分でした」とコメント。昭和一学園との一戦ではバッティングだけではなく、ピッチングでも活躍なるか注目したい。
一方で敗れた都立町田の石毛監督は「幸先よく点数取れたのは良かったです。しかし2点目を獲るのが難しかったです」と追加点を奪えなかったことを反省していた。しかし、先発・中森の好投は春への手ごたえとなったはずだ。
その中森は「春に向けて下半身を強化してストレートと変化球のコントロールを上げていければと思います」とさらなる成長を誓った。
(記事=田中 裕毅)