試合レポート

浦和学院vs埼玉栄

2020.09.10

浦和学院が投打で圧倒。今年も1,2年生にタレント揃いで埼玉栄に5回コールド勝ち

浦和学院vs埼玉栄 | 高校野球ドットコム
攻撃の突破口を切り開いた吉田匠吾(浦和学院)

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 浦和学院埼玉栄という南部地区を代表する強豪校同士の対決がいきなり実現。浦和学院が13対0の5回コールドで圧倒した。

 試合は思わぬ試合展開となった。

 その口火を切ったのが、1番・吉田匠吾(2年)だった。まず四球で出塁すると、2番・松田大成(2年)の右翼線安打と相手の敵失で一気に一塁から本塁に生還する好走塁を見せ、1点を先制した。吉田匠は「三塁コーチャーと確認しながら行けるという判断となったので、本塁を狙っていきました」と、相手の緩慢な動作から本塁に帰るだけの脚力があるだけでも素晴らしい。吉田匠は走塁だけではなく、ヘッドスピードの速いスイングやスピーディで強肩を誇る守備も魅力的。県内でもトップクラスの遊撃手といえるだろう。

 2回裏には7番・河原杜吾の本塁打で2点目を入れる。スイングスピードともに素晴らしく、7番打者の打撃ではない。河原は都筑中央ボーイズ時代から注目されてきた右のスラッガーで、浦和学院の2年間でしっかりと揉まれて成長を見せてきた。

 3回裏には吉田匠とともに下級生から試合出場しつづけてきた正捕手・吉田 瑞樹(2年)が初球を振り抜き、レフト上段へ飛び込む3ラン本塁打。この3ランで勢いづき、打者16人の攻めで、11得点を奪い、13対0と大差をつけた。


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プロで活躍する小島にあこがれる左腕・宮城誇南

 投げては最速140キロ左腕・宮城誇南(1年・読谷ボーイズ出身)。森士監督から「小島和哉(現・千葉ロッテ)タイプ」と評するように、テークバックが小さいフォームから常時120キロ後半~135キロの直球は威力があり、本人も「直球が一番良かった」と手ごたえを感じている。スライダー、チェンジアップ系の変化球も良く、小気味よく直球、変化球を投げ込むスタイル。テークバックの小さいフォームから切れの良い直球を投げ込む姿は実に小島に似ている。宮城は「小島さんは自分とタイプが似ていると思いますし、理想の投手だと思いますので、追いつけるよう、日々研究をしています」と語る。浦和学院はコンパクトなテークバックをした左腕投手が非常に多いが、その中でも将来性は抜群だ。

 5回表には2019年ボーイズ日本代表の小田部夏行(1年)が登板。130キロ前後の速球は角度があり、110キロ後半のスライダー、フォークを投げ分け、1回無失点の投球。今年、エース格として期待されている三奈木亜星が投げなくてもこれほどの投手力なのだから、全国レベルの投手陣だといえるだろう。

 そして打線の破壊力もトップレベルだ。1番~9番までスイングスピードが別格。外野へ飛んでいく打球の力強さが新チームのレベルではない。そしてボール球はしっかりと見送り、ストライクゾーンに来たコースをしっかりと弾き返す。非常に高いレベルを持ったチームだといえる。

 敗れた埼玉栄の山田孝次監督は「完敗です。走攻守すべてにおいて劣ると思いました。県内トップレベルの浦和学院さんと対戦して、大敗で負けた悔しさを忘れずに冬の練習で取り組んでいきたいと思っています」と、浦和学院のハイレベルな野球を魅せられながらも、来春へ向けて決意を新たにしていた。

 埼玉栄も、エースで4番の塚本壮施は不調ながら130キロ中盤の速球を投げ込む右腕で、またスタメン選手の打撃力も悪くなく、冬場に鍛えこんでいけば、楽しみだ。ぜひ来年には浦和学院を脅かすチームに成長することを期待したい。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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