近江vs瀬田工
近江がドラフト候補擁する瀬田工を5回コールドで下す
2安打2打点の活躍を見せた土田龍空(近江)
優勝候補本命である近江と、ドラフト候補右腕・小辻鷹仁(3年)を擁する瀬田工の一戦。小辻が近江打線にどう対峙するかに注目が集まったが、この日の先発は小辻ではなく、背番号5の小浦翔(3年)だった。「小辻は昨日に93球を投げていたので、今日は小浦が序盤を頑張って抑えて、リードした展開で小辻にバトンタッチしたかった」と小浦先発の意図を明かした小椋和也監督。小辻は4番・右翼手で出場することになった。
しかし、小椋監督の目論見は序盤で崩れることになる。1回裏、近江は一死一、三塁のチャンスを作ると、5番・長谷川勝紀(3年)の左前適時打で1点を先制。「自分の夢であったプロ野球に挑戦したい」と先日にプロ志望届を提出した強肩巧打の捕手が、チームに勢いをもたらした。
2回裏には二死走者なしから9番・田中航大(3年)が四球を選んで出塁すると、続く1番・鈴木脩太(3年)も四球を選んで一、二塁とする。ここで2番・明石楓大(2年)の2点適時二塁打を放ち追加点を挙げると、そこから打線が一気に繋がり5得点。6点差となったところで瀬田工はたまらず小辻をマウンドに送り込んだ。二死一、三塁の場面で登板した小辻は暴投でさらに1点を失い、2回を終えて7点ビハインドと瀬田工にとっては苦しい展開となった。
フリーバッティングでは投手を17mから投げさせるなど、入念な小辻対策を行ってきた近江は3回以降も攻撃の手を緩めない。3回裏には二死二塁の場面でともに滋賀選抜で戦った3番・土田龍空(3年)との初対決が実現。「タイミングは合っていなっかったんですけど、体を残せて打てました」と1ボール1ストライクからのスライダーをライト前に運び、追加点を挙げる。
小辻と土田の直接対決はこの1打席だけだったが、「ストレートが非常に来ていて、ビックリしました」と土田は小辻の凄さを打席で実感していた。
近江は4回裏にも8番・橋本歩音(3年)のスクイズと田中の適時内野安打で2点を追加。5回表は山田陽翔(1年)が無失点に抑え、近江が5回コールド勝ちで準決勝進出を決めた。
「夏の大会は2アウトからいかに点を取れるか、守っている方はいかに3アウトを取るかがカギになるんですけど、6点のビッグイニングが今日の勝因だと思います」と試合を振り返った近江の多賀章仁監督。小浦が2回の近江の攻撃を無得点に抑えていれば展開は変わったかもしれないが、田中の四球を大量点に結び付けたことで瀬田工が思い描いていた青写真を打ち砕くことに成功した。
小辻も2回3分の1を投げて3失点と近江の流れを止めることができなかった。「完璧に捉えられた当たりはあまりなかったんですけど、しぶとく微妙なところに打たれたと思います」と相手の打撃技術に脱帽。この試合に関しては全てにおいて近江が一枚も二枚も上手だった印象だ。
小辻は既にプロ志望届を提出しており、ドラフト候補選手を対象にした合同練習会にも参加する予定だ。「野球をやっている人たちが憧れてくれるようなピッチャーになりたいです」と将来の目標を語った小辻。10月のドラフト会議で彼の名前は呼ばれるだろうか。
(取材=馬場 遼)