近江vs光泉カトリック
近江のスーパー1年生・山田が投打でチームを救う大活躍!
7回裏に決勝打を放った山田陽翔(近江)
昨夏の決勝戦と同じ組み合わせが初戦で実現。試合展開も昨年を再現するような素晴らしい守り合いとなった。
近江の先発マウンドを任された田中航大(3年)がテンポの良い投球を見せると、光泉カトリック先発の平井栄太(3年)も緩急を上手く使って、近江打線を翻弄。「予定は3回までだった」という古澤和樹監督の期待を良い意味で裏切り、5回を投げて3安打無失点の好投を見せる。6回からマウンドを引き継いだ中植樹一郎(3年)も2番から始まる近江の攻撃を3人で抑え、良い流れを引き継いだ。
このまま投手戦が続くと思われたが、6回裏の近江の攻撃中にキャッチボールをしていた田中が右ふくらはぎを攣るアクシデントに見舞われる。治療した後に一度はマウンドに戻ったが、再び痙攣したために降板を余儀なくされた。
この緊急事態でマウンドに上がったのが1年生の山田陽翔。大津瀬田ボーイズ時代にはボーイズ日本代表にも選ばれたことのある逸材だ。突然の公式戦デビューにも、「抑えてやろうという強い気持ちでマウンドに上がりました」と堂々たる投球を披露。見逃し三振、三塁ゴロ、空振り三振と完璧な投球で光泉カトリック打線を抑え込んだ。
これで流れを読んだ近江はその裏に二死一、二塁のチャンスを作ると、9番の山田に打席が回る。「リラックスして何も考えずに打席に入りました」と初球の変化球を振り抜き、レフト線への適時二塁打を放つ。「あの場面であれだけのスイングができるのが凄い」と多賀章仁監督も称賛する強烈な一打で近江が待望の先取点を挙げた。山田がこの1点を最後まで守り抜き、昨年と同じ1対0のスコアで近江が勝利。3回戦にコマを進めた。
全体練習に合流して2ヶ月足らずの山田だが、練習試合で結果を出し、「田中に次いで安定している投手」と多賀監督が認めるほどの信頼を勝ち取った。
「1年生28人の中でもリーダーシップをとっている」と既に同級生を引っ張る存在になっており、今後も投打の柱としての活躍が期待されている。
山田が鮮烈なデビューを飾った一方で、ドラフト候補の土田龍空(3年)は3打数無安打に終わり、「自分は結果を出せずにチームに迷惑をかけたと思います。打席で間をとれていなかったし、余裕もなかったです」と反省しきり。次戦での爆発に期待したい。
敗れた光泉カトリックの古澤監督はこの夏をもって退任することが決まっており、これが最後の試合となった。「出来すぎなくらい3年生が頑張ってくれました。最後にこのチームで監督ができて良かったと思っています」と3年生に感謝の言葉を述べていた。
(取材=馬場 遼)