沖縄尚学vs宜野座
両左腕が織りなす世界
沖縄尚学・松田
13Kの沖縄尚学松田大輝は、正統派左腕。対する11Kの宜野座大城真乃は、クロスステップを使い切る。角度あるクロスファイヤーに、手元で絶妙に変化するシュートやチェンジアップ、そして抜群のコントロールに、両軍打者のバットが次々と空を斬る。二人のサウスポーが織りなす奪三振の世界に魅入られた。
互角の投手戦
沖縄尚学松田、宜野座大城の両左腕が気迫溢れる投手戦を演じた。立ち上がりいきなり二者連続三振を奪うなど、5回を終え松田大輝が2安打7奪三振。対する大城真乃も、屈指の好打者與谷から2打席連続で三振を奪うなど2安打6奪三振と互角の投げ合い。
「同じサウスポーだし、負けたく無いという意地が完封させてくれた。」と、試合後に松田が語ったように、両投手とも先にマウンドを降りるわけにはいかないという、鬼気迫る空気感がスタンドまで伝わるしびれる展開。その試合を動かせたのは、やはり4番の一振りだった。
7回、沖縄尚学はこのイニング先頭の與谷友希がセンターの横を襲う二塁打で出塁。次打者は送りバントを試みるも投手前へ。捌いた大城真乃が三塁へ投げた次の瞬間だった。ボールは無情にも三塁側のフェンスを転々とする悪送球。沖縄尚学が虎の子の1点を奪った。
宜野座も8回、二死無走者から1番浦崎康平がエラーで出塁。盗塁を決めると2番仲間光貴がレフト前へ。浦崎康平が快足を飛ばして本塁へ向かうも、沖縄尚学が少しの隙も無い完璧な中継プレーを見せ間一髪アウト。
宜野座は9回裏にも粘りを見せ一死二塁と同点のチャンスを作る。「今日は大輝で最後までいくと決めていた。」という比嘉監督の期待に応え、最後は13個目の三振を奪いゲームセット。「練習試合も含めて初めて。」松田大輝自身初となる高校野球での完投完封勝利で、チームをベスト16へと導いた。
記事=當山 雅通