中京大中京vs岡崎学園
中京大中京が、攻守に力を示して岡崎学園を圧倒してベスト4進出
力強い投球だった、中京大中京・松島君
今大会は優勝候補の1番手として前評判の高かった中京大中京。先週は愛知に勝ったものの1点差と苦しんだ。とはいえ、ここまで勝ち上がるべくして勝ち上がってきたと言っていい。
一方、岡崎学園は西三河一次予選のリーグ戦は2位で二次トーナメントへ進み、5位決定戦では破れながらもなんとか県大会に進出。半田、知多翔洋と下して3回戦では西三河地区1位の岡崎工にも勝って初のベスト8進出を果たしてきた。勢いで、中京大中京にぶつかっていきたいところである。
しかし、いきなり中京大中京が、その力を見せつけた。
岡崎学園の先発は背番号7の山田君。「今のウチの投手では、球には一番力がある」ということで、田中信宏監督が送り出したのだが、やはり力のある中京大中京打線を意識し過ぎたしたところはあったようだ。先頭から2人を連続で歩かせてしまう。無死二塁となって、ボールが中へ入ってきたところを中山君、印出君と中軸に相次いで安打されてたちまち2点が入ってなおも無死二三塁。5番吉田君の犠飛で3点目が入った。
2回にも中京大中京は二死三塁から1番西村友哉君の右前タイムリーと、さらに中嶌君の左翼線へ落す二塁打で2点を追加。これで、試合の主導権は完全に中京大中京となった。
常時145キロ前後のストレートを投げ込んでいく力のあるエース高橋宏斗君が注目されている中京大中京だが、高橋源一郎監督は、「自分としては、投手は二枚看板と考えている」ということで、もう一人の背番号10の松島君にこの試合は託した。
実は、先週の3回戦の愛知戦でも松島君が7イニング投げているのだが、試合そのものは苦しんだが無失点で、きっちり抑えている。この日は、その好投を確認するための登板だったというが、しっかりとその起用に応えた内容だった。
それほど身体は大きくはないが、どちらかと言うと力で押していくタイプ。ストレートも力があり、この日は最速143キロをマークしていたが、その数字だけではなく、ここぞというところでは三振を獲れる力がある。この日は、6イニングを投げたが、4安打1失点、7奪三振は十分の内容と言っていいであろう。
中京大中京は5回にも、3本の二塁打などで3点。7回にも2点を加えてトータル10点で、コールドゲームとした。高橋監督は、「先週の試合(愛知戦)で苦しんだのは、(いくらか狭い)熱田球場ということもあったのでしょうが、打線も大きいのを狙いすぎて大振りになっていました。それを反省して、1週間で修正出来たのは大きかった。強い打球で野手の間を抜いていかれる打球が出てよかった」と、チームとしては、修正能力の高さを評価していた。
特に、秋季大会の場合は、1週間ごとの間隔があるので、その1週間の練習が大事になっていくのだろうが、それがしっかりと出来ているということである。こうなってくると、個々のポテンシャルは高い中京大中京である。この秋への期待は高まっていく。
岡崎学園は結果的には力負け、コールドゲームとなってしまった。とはいえ、学校としても初のベスト8。一つステップアップしたことは大きい。田中監督も、「県のベスト8という場の戦いを出来たということで、自分たちが次に何をしていけばいいのかということはわかってきたと思います。やはり、今まで感じたことのないプレッシャーや強い打球を受けることも体験することは大きい。技術的には外野の守備力、判断力が課題ということも分かった」と、来年へ向けては、大いなる夢と希望と期待を抱いていかれる秋となったようだ。
岡崎学園は、西三河地区では確実に注目される存在になっていっているということを実感させるこの秋の大会でもあった。
(文=手束 仁)