國學院久我山vs都立田園調布
國學院久我山の新たなる船出 都立田園調布にコールド発進
3イニングを無安打6奪三振の投球を見せた村上輝幸(國學院久我山)
夏の西東京を制した國學院久我山が新たな船出を迎えた。[stadium]早稲田実業学校王貞治記念グラウンド[/stadium]で行われた、秋季東京都大会一次予選で都立田園調布と対戦し、10対0の5回コールドと危なげないスタートを切った。
「最初の公式戦でまだ経験を積んでいく段階ではありますが、それぞれが練習試合でやってきたことを出せていたと思います」
そう語るのは、若干29歳の青年監督としてこの夏に大きな注目を浴びた尾崎直輝監督だ。夏のベンチ入りメンバーは18人中17人が3年生であり、新チームは経験のある選手が少ない。それでも尾崎監督は、それぞれが持てる力を発揮して役割を十分に果たしたことに及第点を与えた。
試合は序盤から國學院久我山のペースとなる。
まずは初回、先頭の工藤響が右中間へのツーベースで出塁すると、2番・内山凛は相手のエラーで出塁して二塁ランナーの工藤がホームに生還。あっさりと先制点を挙げると、その後も3番・饗庭和希のレフト前タイムリー、5番・冨樫翔のセンター前タイムリーでこの回3点。
これで試合の主導権を握った國學院久我山は、3回にも3本のタイムリーなどで5点、5回にも3番・饗庭のセンター前タイムリーで2点を挙げて、これでコールド勝ちが確定する10得点。
また投げては先発の背番号1の村上が、カーブを有効的に使って3イニングを無安打6奪三振としっかりとゲームメイク。
村上も「みんな落ち着いていた」と話すように、危なげない試合で都立田園調布を下し、都大会の代表決定戦へ駒を進めた。
「投手を中心にコツコツやっていくチームですが、今日はビッグイニングをつくれました。どの代もそうですが、まず一戦一戦経験を積んでいくことです。彼らが目指しているベスト4にいけるようにやっていきたいと思います」
尾崎監督にとっても、甲子園出場後の新チームは初めての経験となる。新生・國學院久我山がどんな成長曲線を描くのか注目だ。
1年生だけのパワーに注目!
6番で主将の高井大輔(都立田園調布)
一方、敗れた都立田園調布は、実は2年生の部員がいないため新チームは1年生だけで構成されているチームだ。吉田宣浩監督は先輩がいないなかでも工夫して練習に取り組んでいることに評価を口にし、選手たちを称える。
「正式な部員は8人で、1人は他の部活から借りてきた選手です。最初から団結力はありましたし、自主的に取り組めるように成長してきたと思います。
主将の高井も、始めはあまりしゃべらない子だったのですが、自覚が出てきたと思います」
吉田監督から成長ぶりを認められた主将の高井大輔も、チームの成長に手ごたえを口にする。先輩がいない中でのスタートで、当初は右も左もわからなかったと振り返るが、敗れたこの試合も次に繋がる試合になったと話す。
「手本になる人がいなかったので不安でしたが、自分にできることをやっていこうと思ってやってきました。
今日も相手が國學院久我山でしたが、コールドでも思っていた以上に戦えたと思いますし、エラーの少なさは次にもつながると思います」
大きな可能性を秘める、都立田園調布の今後の成長にも注目だ。
(文=栗崎 祐太朗)