試合レポート

関東一vs都立葛飾野

2019.07.14

関東一、投打がかみあい、14得点を入れ快勝!

 14日から東京都はシード校が登場する。春のベスト4の関東一が登場した。

 いつも安定した試合運びを見せる関東一だが、米澤監督は「初戦は怖いですね。選手だけではなく、僕も緊張しますし、初戦は本当に戦いにくいと思っています」
  試合後、どの選手も「緊張した」と振り返る。その勢いをつけたのがエース・土屋大和だった。立ち上がり、内野安打で出塁を許すが、後続を抑えて、無失点で切り抜ける上々の立ち上がり。雨の中での登板となったが、土屋は以前よりも出力が上がっていた。常時130キロ~136キロ前後のストレートは手元でも勢いがあり、毎回奪三振。120キロ近いスライダー、110キロ台のスラーブを投げ分けていきながら、毎回奪三振。

 ただ土屋自身、「今日は雨でマウンドがぬかるんでいて下半身がうまく粘れず、開きが早いフォームとなり、思うようなストレートが投げられませんでした」と悔やんだ。それでも回転数の高いストレートは魅力的である。

 そして打線は4回まで14得点を奪ったが、その中で光ったのは1番大久保翔太。第1打席で左前安打を放つと、第2打席では左翼線へ二塁打。第3打席でも遊撃内野安打。

 大久保の持ち味は足。塁間4.00秒前後で駆け抜けそうな瞬足を持った選手で、米澤監督も走力の高さを評価しての一番起用だと明かす。小さいときから足には自信があり、取手シニア時代から1番センターとして活躍。関東一入学後も足には自信があったが、「当時は全然、野球勘というのが全然なくて、いつも監督さんやコーチの方々に考えてプレーをしろといわれていた」と振り返る。

 そのために心掛けたのは日々の練習から、何をすればいいのか、考えながらプレーする習慣を身に着けた。また、俊足をウリとする大久保にとって理想の選手がいた。それが、斎藤 未来也(中央大)だ。斎藤からアドバイスを受け、成長を見せてきた。
「一番アドバイスを受けたのはボールをじっくり見るということ。ボールを見ることを重要視してきました」


 先輩のアドバイスを忠実に守り、視野の広さを実感できた。常に全力で走り、1番打者としてかき回すことを意識している。この試合では3安打を記録したが、「この試合ではストレートに狙いを絞り、変化球がきたら対応することを心掛けました。うまくレフト方向へ打ち返せたと思います」

 インパクトまで無駄のないレベルスイングが光る野手。そのスイングはティーバッティングで作り上げた。

「僕は左ひじが下がり、アッパースイングになる傾向があるので、それを防ぐために、ティーバッティングでは、右足をインステップにして逆方向に打ち返す練習をして、体の開きを抑えて、逆方向へ打つ練習を繰り返してきました」

 その結果が今日の安打につながった。ただ大久保自身、「まだ肘が下がってアッパー気味のスイングになっていたので反省です」と内容には満足していなかった。

 14対2とリードして1年生右腕の市川祐が登板。182センチ80キロと恵まれた体格から投げ込むストレートは常時125キロ前後(最速128キロ)と決して速くないが、威力があり、2奪三振を記録した。初めてのマウンドの割には落ち着いていて、ストレートのコントロールが安定している。市川自身、「僕はコントロールには自信があり、練習試合では四球をあまり出したことがありません。そういうところがベンチ入りにつながったと思います」
 コントロールはなかなか改善できないだけに先に一定以上の制球力の高さがあるのは大きな強みがある。緊張がかかる初戦は大勝で終えた関東一。今後の試合では投打ともに仕上がった姿を見せることができるか。

(文=河嶋宗一

【 速報ページはこちら 】

2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会東東京大会
■開催期間:2019年7月7~7月27日(予定)
■組み合わせ表【2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会東東京大会】
■展望コラム【【東東京大会展望】二松学舎大附の夏三連覇を阻むチームは現るか?東東京大会を徹底解剖!】

◇14日の試合

第101回 全国高等学校野球選手権大会 東東京大会
3回戦 日体大荏原    5  -  2    日本ウェルネス東京 明治神宮野球場 応援メッセージ
青山学院    11  -  1    都立大崎 明治神宮第二球場 応援メッセージ
関東一    14  -  2    都立葛飾野 明治神宮野球場 応援メッセージ


この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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