試合レポート

洛南vs園部

2019.07.11

女性監督率いる洛南が6年ぶりの夏1勝

 園部洛南ともに選手14人と少数校同士の一戦。打線が繋がった洛南が6年ぶりに夏の大会で勝利を収めた。

 洛南は3回裏、一死二塁から3番・大野陽(3年)がレフト線への適時二塁打を放ち、1点を先制する。さらに4回裏には相手のミスや大野の適時打などで5点を追加。先発の吉田一真(3年)をマウンドから引きずり下ろした。

 6点のビハインドを背負った園部だが、2番手の八木陽向(3年)が粘り強い投球で追加点を与えない。打線は洛南のエース左腕・藤原大徳(2年)に抑え込まれるが、反撃の機会を伺う。

 園部にチャンスが訪れたのは7回表、一死一、二塁から6番・明智大稀(3年)の右前適時打で1点を返すと、さらに二死満塁から9番・長谷川一紀(3年)が2点左前適時打を放ち、3点差とする。この後、捕逸でさらに1点を加え、この回で2点差にまで詰め寄った。

 しかし、この日は久しぶりの勝利に燃える洛南が最後まで力を見せた。7回裏に捕逸で1点を加えると、8回裏には無死満塁から大野の2点左前適時打で2点を追加。さらに一死満塁となり、6番・山田尚尭(1年)の二塁ゴロが本塁への悪送球となり、二者が生還。この時点で7点差となり、洛南が8回コールドで2014年秋以来の公式戦勝利を収めた。

 2015年に就任した山村真那監督はこれが公式戦初勝利。「(校歌を聞いたのは)初めてなのでとても嬉しかったです。今年は選手に初勝利をプレゼントしてほしいと話をしていましたが、見事にやってくれました」と初勝利を喜んだ。

 山村監督は京都府で唯一の女性監督。小学生から大学までソフトボールの選手として活躍していたが、野球のプレー経験はない。投げ方が違う投手の指導に悩んだこともあったそうだが、練習試合で相手校の監督にアドバイスを求めるなどして勉強を重ねてきた。

 洛南は陸上の桐生祥秀を筆頭に名だたるアスリートを輩出したスポーツ強豪校として知られているが、野球部員は附属中出身者と一般入試で入ってきた生徒のみ。練習時間は1日2時間足らずと決して環境に恵まれているわけではないが、山村監督の自ら考えさせる指導の下で選手たちは公式戦でも堂々とプレーできるようになった。

 さらにOBの支えもあった。昨年の副主将だった向井鴻太がコーチとしてチームをサポート。大学の授業の合間を縫って指導を引き受けた。選手の目線に立って後輩を鼓舞してきた若き指導者は後輩が校歌を歌う姿を見て「感無量でした」と振り返る。監督、選手、OBが一体となって念願の1勝を掴み取った。

 4打数4安打4打点の大活躍を見せた大野は「山村先生に1勝をプレゼントできたので、欲張って2勝目を狙いに行きたいです」と3回戦に向けて意欲を見せた。文武両道に励む洛南の快進撃はまだ終わらない。

(文:馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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