試合レポート

星稜vs啓新

2018.10.22

15回決着つかず!決勝戦は再試合へ!

星稜vs啓新 | 高校野球ドットコム
ホームクロスプレーもタッチアウト

 星稜は2回、七番・福本陽生内野手(2年)の犠牲フライで先制すると、4回には福本が今度はタイムリー内野安打を放ち追加点。

 今大会無失点のエース・奥川恭伸投手(2年)の前に、7回まで2安打と抑えられていた啓新は8回、一死から六番・山澤太陽内野手(1年)が左中間へ二塁打を放ってチャンスを作ると、一死一、三塁として八番・幸鉢悠樹内野手(1年)のセカンドゴロが本塁でフィルダースチョイスとなり1点差。さらに二死一、二塁から一番・濱中陽秀内野手(2年)がレフト前へ落とすタイムリーを放ち、同点に追いついた。

 啓新は8回から先発の安積航大投手(2年)から浦松巧投手(2年)にリレー。星稜は奥川が1人で投げ、延長15回までお互い得点を与えず、15回引き分け。23日に再試合が行われることになった。

 今シーズンから全ての公式戦で13回からタイブレーク方式を採用し、決着がつくまでエンドレスで行われるようになったが、高校野球特別規則では決勝に限ってタイブレークを適用せず、15回引き分けとなっている。なお、決勝の再試合では延長13回からタイブレーク方式で、決着がつくまで試合が行われる。

 15回を終えた両指揮官。勝敗をつけきれなかったという何とも言えない表情を浮かべていた。啓新の植松照智監督は、「接戦に持ち込めたが、私が色気が出てしまった。一、三塁で打たせたり、私自身がその辺りを反省しないといけない」と振り返った。

 一方の星稜・林和成監督も、「終盤はピンチの場面は守ってくれたが、初回からチャンスがあったものの、攻めきれなかったのがこういう展開になった。もどかしい」と話した。

 ゲームとしては、星稜が攻め、啓新が守る。奥川という存在がいる以上、啓新にとっては、少ないチャンスを活かすしかなく、8回の2点はそれができた形だ。攻めた星稜は、啓新の2人の投手から取り切れなかった。



星稜vs啓新 | 高校野球ドットコム
啓新の得点シーン

 攻めの難しさ・・・
 星稜の主将・山瀬慎之助(2年)の「ランナーコーチのミスもあった」という言葉を借りて、延長10回裏の場面を取り上げてみたい。

 四球と送りバントで一死二塁として、三番・知田爽汰(1年)がライト前へヒットを放った。二塁走者の山本伊織(2年)はランナーコーチが腕を回すのを見て、本塁へ突入。この回からライトに入っていた啓新宮村和暉(2年)の好返球で、本塁タッチアウトになった。

 主将・山瀬の見解は、「一、三塁で次は四番の内山(壮真=1年)。外野フライでも1点を取れる形になる」だった。じっくり攻めるべきか、勝負をかけるべきか。考え方は様々だが、アウトカウントと次の打順という観点なら、「ストップ」の選択肢がうなずける部分でもある。もちろん、返球が逸れるケースでもあるので、勝負をかけてもセーフになる可能性はあることを忘れてはいけない。だから答えは一つではない。ミスはミスとして、100%間違いだったかと言えば、そうではないという考え方もできるわけだ。

 まだ秋の段階だ。来年夏まで続くチーム。今日の勝敗は別にして、どうすべきだったか。課題としてじっくりと反省会をする時間はある。これから同じような場面が来た時にどうするか。深く考える良い場面だったと言えるのではないだろうか。

 攻めの難しさ。それを実感した延長15回引き分けであった。

 

(文・写真=松倉 雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.30

【春季栃木県大会】夏への布石が着々と成果を挙げた! 文星芸大附が堅い守備で完封勝利!ドラフト候補・堀江は最速146キロをマーク

2024.04.30

大阪大などに卒業生を輩出する進学校・三国丘  文武両道を地で行く公立校は打倒・強豪私学へ「何かしてやりたい」

2024.04.30

【北海道】昨秋優勝の旭川実と春季連覇中の旭川明成が初戦で激突!<春季全道大会支部予選組み合わせ>

2024.04.30

【岩手】宮古、高田、久慈、久慈東が県大会出場へ<春季地区予選>

2024.04.30

【春季愛知県大会】享栄がまとまりの良さを見せて、豊川に完封勝利で決勝進出

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.28

【広島】広陵、崇徳、尾道、山陽などが8強入りし夏のシード獲得、広島商は夏ノーシード<春季県大会>

2024.04.28

【岡山】関西が創志学園に0封勝ちして4強入り<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける