星稜vs啓新
15回決着つかず!決勝戦は再試合へ!
ホームクロスプレーもタッチアウト
星稜は2回、七番・福本陽生内野手(2年)の犠牲フライで先制すると、4回には福本が今度はタイムリー内野安打を放ち追加点。
今大会無失点のエース・奥川恭伸投手(2年)の前に、7回まで2安打と抑えられていた啓新は8回、一死から六番・山澤太陽内野手(1年)が左中間へ二塁打を放ってチャンスを作ると、一死一、三塁として八番・幸鉢悠樹内野手(1年)のセカンドゴロが本塁でフィルダースチョイスとなり1点差。さらに二死一、二塁から一番・濱中陽秀内野手(2年)がレフト前へ落とすタイムリーを放ち、同点に追いついた。
啓新は8回から先発の安積航大投手(2年)から浦松巧投手(2年)にリレー。星稜は奥川が1人で投げ、延長15回までお互い得点を与えず、15回引き分け。23日に再試合が行われることになった。
今シーズンから全ての公式戦で13回からタイブレーク方式を採用し、決着がつくまでエンドレスで行われるようになったが、高校野球特別規則では決勝に限ってタイブレークを適用せず、15回引き分けとなっている。なお、決勝の再試合では延長13回からタイブレーク方式で、決着がつくまで試合が行われる。
15回を終えた両指揮官。勝敗をつけきれなかったという何とも言えない表情を浮かべていた。啓新の植松照智監督は、「接戦に持ち込めたが、私が色気が出てしまった。一、三塁で打たせたり、私自身がその辺りを反省しないといけない」と振り返った。
一方の星稜・林和成監督も、「終盤はピンチの場面は守ってくれたが、初回からチャンスがあったものの、攻めきれなかったのがこういう展開になった。もどかしい」と話した。
ゲームとしては、星稜が攻め、啓新が守る。奥川という存在がいる以上、啓新にとっては、少ないチャンスを活かすしかなく、8回の2点はそれができた形だ。攻めた星稜は、啓新の2人の投手から取り切れなかった。
啓新の得点シーン
攻めの難しさ・・・
星稜の主将・山瀬慎之助(2年)の「ランナーコーチのミスもあった」という言葉を借りて、延長10回裏の場面を取り上げてみたい。
四球と送りバントで一死二塁として、三番・知田爽汰(1年)がライト前へヒットを放った。二塁走者の山本伊織(2年)はランナーコーチが腕を回すのを見て、本塁へ突入。この回からライトに入っていた啓新の宮村和暉(2年)の好返球で、本塁タッチアウトになった。
主将・山瀬の見解は、「一、三塁で次は四番の内山(壮真=1年)。外野フライでも1点を取れる形になる」だった。じっくり攻めるべきか、勝負をかけるべきか。考え方は様々だが、アウトカウントと次の打順という観点なら、「ストップ」の選択肢がうなずける部分でもある。もちろん、返球が逸れるケースでもあるので、勝負をかけてもセーフになる可能性はあることを忘れてはいけない。だから答えは一つではない。ミスはミスとして、100%間違いだったかと言えば、そうではないという考え方もできるわけだ。
まだ秋の段階だ。来年夏まで続くチーム。今日の勝敗は別にして、どうすべきだったか。課題としてじっくりと反省会をする時間はある。これから同じような場面が来た時にどうするか。深く考える良い場面だったと言えるのではないだろうか。
攻めの難しさ。それを実感した延長15回引き分けであった。
(文・写真=松倉 雄太)