試合レポート

岐阜第一vs海津明誠

2018.09.24

海津明誠が序盤は粘ったが、岐阜第一は終盤に猛攻でベスト4進出

岐阜第一vs海津明誠 | 高校野球ドットコム
完投した高倉明健(岐阜第一)

 9月上旬の台風の影響を受けて、開幕そのものが1週間遅れた今年の秋季岐阜県大会。その翌週もまたも雨でさらに1日延びたのだが、この日に何とか準々決勝が組まれた。各地区予選を1位で通過してきたシード校がいずれも残って、順当な顔ぶれでもある。

 海津明誠は西濃地区1位で県大会では各務原西大垣養老を下してきた。毎週金曜日には、選手たちで、いつも丸刈りにし合うという。岐阜第一は岐阜地区の2位校として登場。加納岐阜城北を下しての8強進出だ。

 海津明誠は打っては4番で岩橋浩二監督の次男球斗君が先発。岐阜第一は最速141キロをマークしたこともある小柄ながら速球派の高倉明健君が先発。お互い、凌ぎあいの序盤だったが、3回に岐阜第一が先制する。

 この回の岐阜第一は2番山本大輔君が右前打で出るとしっかりと送り、5番大橋君が右前打して二塁走者を帰す。しかし海津明誠もすぐに反撃して4回、岩橋君と井上君の連打で一二塁とし、バントは失敗するものの、重盗で二三塁として8番若狭君が中前へポトリと落としてこれが2点タイムリー打となって逆転した。

 追いかける岐阜第一は5回に四球と大橋君の安打で作った二死一二塁の場面で6番に入っている高倉君が左前打で帰して同点とする。高倉君自身は、自分のバットで同点としたということもあって6回以降、スピードも制球も安定してきた。試合の流れも岐阜第一に傾いていく。

 6回から海津明誠の岩橋浩二監督は一塁手の河口君と投手の岩橋君を入れ替えた。これは、このチームはこうした形でこれまでも戦ってきたので、何も迷いはなかったことである。ところが、その回に岐阜第一は9番の松田君が中越三塁打して、送球がそれる間にそのまま本塁まで走って逆転。7回には、内野安打と制球に苦しむ河口君から4四球で2つの押出で追加点。8回には4番堀君の2ランも飛び出し、なおも大橋君の二塁打と田村君のタイムリー中前打でリードを広げていった。

 海津明誠も9回の攻撃は、先頭の7番増田君が右前打して食い下がり川口君の右中間二塁打など4安打を放って3点を返したものの、追いつかなかった。

 海津と海津北の両校が統合して新校として出来たときに赴任してきた岩橋監督は、「毎日、少しでも多く生徒たちと同じ時間を過ごせるように時間を作っていく」ということから始めた。朝6時半には全員で体重測定をして、体調管理の意識を育てて、それから朝練習も付き合う。さらには、毎週金曜日の丸刈りも、別段強制したというワケでもないが、「何かを統一していこう」という意識から始まってもう6年も継承されているという。こういう、草の根的な地道で、どうかすると「今の時代に、何をやっているんだ」と言われかねないことでもあるのだが、そんな高校野球を推進していこうというスタイルが素晴らしい。この学校では、こういう形で行った方がいいという判断と対応、それこそが高校野球の指導の現場で最も求められていることではないのかと、そんなことも改めて思わされた。

 ベスト4進出を果たした岐阜第一の田所孝二監督は、「ここ何年かでも、投手が安定しているので、失点が計算出来るだけ、チームとしては高いやすい」と感じているようだ。そして、東海地区大会進出へ向けては、「やはり、地区大会には2年に1回ずつくらいは出ておかないと…、そうしていくうちに甲子園に届くようになっていく」という考えだ。それは、何度も甲子園に導いた福知山成美時代の思いは変わってはいない。岐阜第一の進撃は、まだまだ続きそうである。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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