本庄東vs栄北

　確かに今大会まだ勢いには乗れていなかった栄北であっただけに、本庄東を相手に苦戦するとは思われたが、まさかこんなに早いとは。Bシードが早くも姿を消した。

　越ケ谷対秀明英光戦でも触れたが、北埼玉大会の3回戦、4回戦は今日、明日の連戦で行われる。それによりこの二日間は二番手以降の投手をどこまで引っ張りどこでエースを登板させるのか。エースをどこで温存させるかも対戦相手を見ながらの戦いとなる。この試合も例外ではなく勝ち上がると明日は本庄第一との対戦が濃厚だ。

　この試合も例外ではなく、本庄東がエース瀬田木京平（2年）を先発させたのに対し、栄北はエース高木大地（3年）ではなく、背番号11の早乙女喜輝（3年）を先発させる。さらに栄北は1年生嶋村知浩の打順を3番に上げたのだが、とにかくこの試合、試合を左右する大事な場面で彼に回る。

　瀬田、早乙女両投手共にMAX130km前半程でそこにスライダーなど変化球を交えるオーソドックスな右投手だ。

　まず本庄東は初回、栄北・早乙女の立ち上がりを攻め、先頭の馬場渉（3年）がライト前ヒットで出塁するが、続く濱岡慧（3年）はスリーバント失敗に終わると続く野口竜之介（2年）の所で一走・馬場が牽制で刺されるなどややチグハグな攻めとなり無得点で終わる。

　一方の栄北も先頭の岩崎陽大（3年）が四球で出塁すると、すぐに二盗を決め無死二塁とする。続く中村和喜（3年）がセカンドゴロで走者を進め一死三塁とチャンスを広げるが、3番・嶋村が三振に倒れると、4番・大嶋涼平（3年）は四球を選ぶが後続が倒れ無得点に終わる。

　2回以降、栄北・早乙女がやや落ち着きを取り戻したのに対し、本庄東・瀬田は不安定な投球が続く。

　2回裏、栄北は一死から7番・宅島大喜（3年）が四球を選び出塁すると、続く早乙女は送りバントをする。この打球に対しキャッチャーが一塁へ悪送球を放り一死一、三塁となる。さらに、9番・野口悠也（2年）が四球を選び一死満塁とチャンスが広がると、ここで続く岩崎がセンターへ犠飛を放ち幸先良く栄北が1点を先制する。その後2番・中村が死球を選び再度満塁となるが、続く嶋村がショートゴロに倒れこの回1点で攻撃を終了する。

　対する本庄東も3回表すぐに反撃を開始する。一死から1番・馬場がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く濱岡の所で本庄東ベンチはエンドランを仕掛ける。これは内野ゴロになるが、走者を進め二死二塁とすると、3番・野口がサードへの内野安打を放ち二死一、三塁とチャンスを広げる。するとここで本庄東・早乙女が突如乱れる。続く栗田竣輔（3年）に四球を与え二死満塁とすると、5番・福島諒平（1年）にも押し出しの死球を与え同点とされてしまう。

　本庄東・瀬田は3回で6四死球と序盤かなり苦しい投球であったが、徐々に制球が安定し始め立ち直る気配を見せる。実は栄北打線は4回裏早乙女が初ヒットを放つまでノーヒットに抑えられていたのだが、瀬田はその後も栄北打線を無失点に抑える。

　試合は1対1のまま膠着し終盤へと進む。この均衡を破ったのは本庄東であった。

　7回表、二死から本庄東ベンチは代打に竹石海翔（3年）を送ると、竹石は期待に応えライト越えの二塁打を放ち二死二塁とチャンスメイクに成功する。するとここで続く野口が三塁線を破る貴重なタイムリー二塁打を放ち2対1としついに逆転に成功する。

　何とか流れを変えたい栄北は8回からエース高木を登板させる。高木はきっちりとその後の2イニングをノーヒット無失点に抑えると、8回裏栄北に最後のチャンスがやってくる。

　一死から8番・菊川塁（3年）が四球を選び出塁すると、続く野口がライト前ヒットを放ち一走・菊川は一気に三塁を奪い一死一、三塁とする。二死後2番・中村が四球を選び二死満塁とするが、嶋村はショートゴロに倒れ万事休す。

　本庄東は瀬田がかなりの球数を投げながらも最後まで投げ切り2対1でBシード栄北を下し4回戦へ駒を進めた。

　栄北はまさに痛恨であろう。四球を選び、塁を賑わしながら一本が出ず、何かチャンスを多く作っているように錯覚しそのままズルズルと行ってしまうというのは野球ではよくあることだ。だが、そもそも栄北は前の試合でも打線が爆発するまでには至らず、この日も岩崎や武井、高木、宅島などキーとなる打者がノーヒットに抑えられるなど今大会まだ本調子を取り戻す所までは行っていなかった。

　この状況で1年生を3番に据えるのはかなりギャンブル的な要素が伴う。やはりというか荷が重かったか。ならばそこはエース高木が踏ん張らなければならないのだが、明日は本庄第一戦を控えているだけに無理はさせられない。しかもこの日の早乙女は良く投げていただけに責められない。改めて継投タイミングの難しさを痛感させられた。シードとして臨んだ初めての夏の大会で受けに回ってしまった部分もあるだろう。とにかく今大会の栄北はかみ合う前に大会が終わってしまった印象を受けた。

　一方の本庄東も状況は厳しい。というのも次の相手である本庄第一はエースを温存し5回コールドで試合を終えている。幸い1,2年生が多い若いチームであるだけにシード校を倒し波に乗る可能性を秘めているが、エース瀬田はこの日既にかなりの球数を投げており明日の試合は厳しいであろう。それだけに総力戦でぶつかる他はない。勢いに乗り今大会台風の目になることができるか。

（文＝南 英博）