試合レポート

今治西vs宇和島東

2018.07.14

今治西「MLBスタイル」で宇和島東に完勝!

  2番に強打者を置き、相手の打球方向を分析し尽くした大胆な内外野守備。これが今、MLBで最新鋭をいく野球スタイル。 そんな「MLBスタイル」がこの日、坊っちゃんスタジアムで展開された。

 
 

  しかも実行に移したのはこれまでは古きよき高校野球の継承者の旗振り役存在と認知されていた今治西・大野 康哉監督である。2012年には大谷 翔平(MLBアナハイム・エンゼルス)を筆頭に現在の日本野球界をけん引する世代と共に侍ジャパンU-18チームコーチも歴任するなど、実は世界野球にも明るい指揮官は、春県大会準々決勝で2対7で敗れた宇和島東に対し、パンドラの箱を開ける。

 

 まずは打順。宇和島東の最速140キロ左腕・内田 健太(3年・180センチ67キロ・左投左打・西予市立宇和中出身)に対し、1番には練習試合で主に2番を打っていた右打者の大塚 翔洋(3年・中堅手・171センチ70キロ・右投右打・宇和島ボーイズ出身)を起用。そして2番にはこの2年生を置いた。

 

 深川 拓人(2年・右翼手・165センチ70キロ・右投左打・今治中央ボーイズ出身)。新居浜市の軟式野球チーム・船木パイレーツに所属した小学生時代は「高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会」に2年連続出場し6年時にはベスト8。今治中央ボーイズでも創部3年目、俵藤 夏冴(現:大阪桐蔭3年)、渡部 颯大(現:明徳義塾3年)を擁し、「第46回日本少年野球選手権大会」でベスト4に入った時の2年生レギュラーとして躍動。今治西でも1年夏からベンチ入りし、中軸を張る逸材である。

 

 そして、この打線変更はチームを大いに活気づけることになる。1回表に中前打で出塁した大塚は深川の犠打後、三盗に成功。3番・土居 駿介(2年・一塁手・173センチ71キロ・右投右打・松山リトルシニア出身)の左犠飛を引き出せば、2回表には2-0としてなおも二死一・二塁から豪快に右中間を破る2点三塁打。試合の流れを完全にわがものとした。

 

 また、深川も4回表・6回表には宇和島東左腕2枚看板のもう1人である2番手・菊池 来樹(3年・左投右打・178センチ82キロ・西予市立三瓶中出身)から2本の三塁打を放ち、1打点1得点。宇和島東の心を完全に折った。

 

 一方、守備面では春の県大会と6月9日の練習試合から採取した打球方向データを最大限活用。特に4番・上甲 凌大(3年・捕手・180センチ70キロ・右投左打・西予市立宇和中出身)をはじめとする左打者に対しては、二塁手が一・二塁間寄り、かつ芝生に入るポジショニングを取り、一塁手もライン際を捨てる守備位置で構える布陣でプレッシャーをかけた。

 

 こうして終わってみれば優勝候補の一角だった宇和島東に全く主導権を握らせぬまま、8対2で快勝した今治西。まずは春のリベンジを果たした彼らは、次は昨夏敗れた松山中央へのリベンジ。さらには2015年の春夏連続甲子園出場以来遠ざかる聖地到達への階段を「MLBスタイル」で昇っていく。

(レポート=寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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