試合レポート

明学東村山vs都立東大和南

2018.07.11

明治学院東村山、石川のサヨナラスクイズで延長10回の熱戦を制す

   

 1回戦で都立保谷に逆転勝ちした明学東村山は、2回戦は「西東京のドクターK」と呼ばれる吉岡桃汰を擁する都立東大和南と対戦。相手の左腕投手を意識してゲームプランを立てたが、東大和南の先発は、背番号10の右腕・山本竜大だった。実は吉岡は4月下旬から腰を痛めており、この試合では、投げられない状態であった。

 

 代わりに登板した山本であるが、もともと吉岡とエース争いをしていた選手。身長165センチと小柄であるが、気持ちの入った投球で試合を作る。

 

 一方明学東村山の先発は背番号10の左腕・山﨑楓一。山﨑は1回表東大和南打線につかまる。1番・原田遼の右翼への二塁打に続き、2番・比留間義人の左前安打でまず1点。3番・前之園拓也は併殺に倒れたものの、4番・南里祥輔が四球で出塁すると、身長173センチ、体重96キロのドカベン体型の巨体で二盗、三盗と続けて盗塁。やはり四球で出塁した5番の畑中洸太朗も二盗しており、二死二、三塁で6番、主将の渡邊優斗の左前適時打で2人が還り、東大和南が1回表に3点を入れる。

 

 明学東村山もすぐに反撃し、2回裏、6番・山﨑が中前安打で出塁すると、続く2人のバントはいずれも内野安打に満塁。1番・茂木一馬の一ゴロの間にまず1点。加えて、山本の牽制悪送球もあってさらに1点を返す。

 

 得点の多く入りそうな展開になったが、ここから両投手が踏ん張る。好投する両投手をバックも盛り立てる。中でも光ったのが、明学東村山の主将で遊撃手の茂木一馬。新座シニア出身の茂木は、遊撃手後方の難しい打球を、後方にジャンプして捕球するなど、何度も好守備をみせた。明学東村山も東大和南も、得点どころか、走者を出すこともなかなかできない。それでも猛暑の中、両投手にも疲労がみえてきた。

 

 試合が動いたのは、8回の攻防であった。まず8回表、東大和南の2番・比留間が中前安打で出塁すると、明学東村山は、左腕の山﨑に代えて、右腕の背番号1、高橋健を投入する。しかし東大和南は3番・前之園が三塁線を破る二塁打を放ち、待望の追加点を挙げる。それでも高橋は、ストレートに微妙に変化を加えて追加点は許さない。

 

 その裏明学東村山は、この回先頭の3番・中村恭大の右前安打、投手から右翼手になった6番・山﨑の右前安打で一死一、三塁。山﨑が二盗し二、三塁とし、8番、途中出場の倉田和明の三塁への内野安打で1点差に迫ると、9番・石川陽太、1番・茂木の連続四球で押し出し。同点になり、試合はそのまま延長戦に突入した。

 

 東大和南の山本の疲労は明らか。けれども吉岡は投入できない。10回裏リリーフした明学東村山の7番・高橋が左前安打で出塁すると、敵失もあり一死一、三塁となり、9番・石川のスクイズは内野安打となり、明学東村山が1回戦に続く逆転で、東大和南を破った。
 

 逆転勝利で波に乗る明学東村山は、3回戦はシード校の国士舘と対戦する。相手が格上であるのは確かだが、遊撃手の茂木、1年生ながら3番打者の倉持欣仁ら、才能のある選手もおり、結果を恐れず、思い切ってぶつかってほしい。

 

 

 一方敗れた東大和南は、頼みのエース・吉岡が登板できず、無念であったと思う。それでも、春までは吉岡頼みであったチームは、この夏、たくましく成長した姿をみせてくれた。そして吉岡は、春の奪三振22も、夏の不完全燃焼の悔しい負けも、これからの野球人生の貴重な経験として、しっかり胸に刻んで欲しい。

 
 
 

 (文=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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