試合レポート

二松学舎大附vs東海大高輪台

2017.07.30

二松学舎大附、3年ぶり2度目の優勝!日陰の世代、耐えて開花

 混戦といわれていた東東京大会の決勝戦は、悲願の初優勝を目指す東海大高輪台と3年ぶりの甲子園を目指す二松学舎大附の一戦になった。ともに戦力的には東東京で間違いなくトップクラスであるが、東海大高輪台は春季都大会の2回戦で実践学園に完敗したため、ノーシードから勝ち上がってきた。

 一方二松学舎大附は、シード校にはなったものの、春季都大会の準々決勝の日大三戦では、5回コールドで敗れており、夏の戦いが危ぶまれていた。しかし両校とも短期間で見違えるように成長し、甲子園大会出場をかけた決戦の場に立つことになった。

 
東海大高輪台は背番号20の西原秀俊二松学舎大附はエースの市川 睦と、ともに左腕投手が先発した。

 
1回表二松学舎大附は1番・堀川尚希、2番・鳥羽晃平の連続安打でチャンスをつかみながら得点できず、嫌な流れのスタートになった。

 
しかしそうした懸念は、2回表の攻撃で、一気に解消する。この回先頭の6番・秋広涼太が一塁への内野安打。続く市川が送ったが、捕手の一塁への送球が悪送球となり、二、三塁になる。8番・松江 京の右前安打で二松学舎大附が1点を先制する。さらに1番・堀川の四球で満塁になり、2番・鳥羽の中前安打で2人が生還する。

 
ここで東海大高輪台は先発の西原から、2番手の鵜飼康弘に交代する。二松学舎大附の3番・平間陸斗は鵜飼のファーストストライクを見逃さず中前安打し、1人が生還。さらに打順が一巡した6番・秋広の内野安打などで1点を追加して、この回一挙5点を入れる。

 
3回表も二死一、三塁から3番・平間が痛烈な投手返しの打球。これが投手の足に当たり内野安打になって1点を追加した。さらに4番・永井敦士が左中間を破る二塁打を放ち2人が生還し8対0。二松学舎大附が序盤で主導権を握った。

 
その裏二松学舎大附の先発・市川は、二死後突然制球が乱れ、9番・石川俊太朗に四球。石川が二盗すると捕手の悪送球があり、石川は三塁へ。1番・青木海斗にも四球で一、三塁とし、2番・米澤 藍の左前安打で東海大高輪台が1点を返した。

 
しかし東海大高輪台の反撃もここまで。4回裏に東海大高輪台は、この回先頭の4番の伊東 翼が中前安打で出塁したが、後続の2人が三振に倒れ、得点に結びつかない。
 市川は最速140キロを超えるストレートに、カーブ、チェンジアップなどのスローボールを織り交ぜ東海大高輪台打線を翻弄し、4回以降は二塁も踏ませない好投。

 
東海大高輪台は3回表の途中からエース・宮路悠良をマウンドに上げる。宮路は最速140キロを超える速球を軸に二松学舎大附打線の勢いを止めたが、5回表は、失策で出た走者が盗塁で二塁に進み、5番・畠山大豪の左前安打で生還し、二松学舎大附が1点を追加した。

 
その後は宮路も失点はなかったが、東海大高輪台二松学舎大附の市川を攻略できず、9対1で二松学舎大附が勝利。3年ぶり2回目の夏の甲子園大会出場を決めた。

 
二松学舎大附の3年生は、大江竜聖今村大輝ら一つ上の代の先輩たちの陰に隠れて、目立たなかった世代だ。主将で捕手の松江 京にしても、強肩でリードにも定評があったが、今村の控えに甘んじていた。
エースの市川も打撃は早くから評価されていたものの、同じ左腕投手ということで、どうしても大江と比較され伸び悩んだ。

 
昨年の秋の新チームから、市川や松江がチームの中心になったが、秋季都大会では相手が帝京ということがあったものの2回戦で敗退。春季大会は準々決勝まで進んだものの、準々決勝では日大三に1対16の5回コールドの惨敗。早々に降板した市川は、試合中、市原勝人監督から延々と説教をされていた。

 
しかしこの夏、市川は見違えるような成長した姿をみせた。体格がたくましくなり球速もアップ。何よりもマウンド上で春まであった怖気づいたような表情はなくなり、勝負師の顔になっていた。
 東海大高輪台は、決勝戦では二松学舎大附に完敗したが、この夏は、今までの個人技中心から、チームとして戦えるようになった。宮嶌孝一監督も、チーム作りのヒントを多く得た大会ではなかったか。

 
春から夏の短い期間でも、高校生は変貌を遂げることができることを再認識させられた大会であった。二松学舎大附は東東京大会で優勝した自信を糧に、甲子園では、さらに成長した姿でひと暴れしてほしい。

(文=大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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