明徳義塾vs岡豊
明徳義塾「打点0」で8連覇へ王手!だが、しかし……
「どんな形でも勝てば官軍」。3年生にとって「最後の夏」という言葉が現在定着しているように、夏の地方大会は本来、内容などは一切関係ないと言ってよい。結果のみがチームの将来を支配する。そういうものだ。
ただし、これが甲子園で勝ち上がることを目標としているチームであればどうだろう。地方大会ではその準備段階として結果と同時に内容を高める努力がなされてしかるべきではないだろうか。事実、センバツで「大阪決勝」を戦い、現在大阪大会を戦っている大阪桐蔭や履正社などは勝ち上がると同時に試行錯誤を重ねながら内容を高めようとしていることが、一連のレポートからも十二分に感じ取れる。
そしてこのような視点でこの日、高知大会準決勝を戦った明徳義塾を俯瞰すると、残念ながら合格点からは程遠い内容と言わざるを得ない。
それでもバッテリーについては合格点であろう。116球6安打2四球8奪三振完封の北本 佑斗(3年・左投左打・170センチ70キロ・大阪泉北ボーイズ<大阪>出身)は最速136キロとスピードを向上させ、かつ高知商戦で課題を残した制球力も6回以降は無四球。筒井 一平(3年・捕手・170センチ70キロ・右投右打・伊予市立伊予中<愛媛>出身)も3人のランナーを刺して北本とチームを助けた。
その反面、打線は6安打は放ったものの、得点は相手失策2個によるものでいわゆる打線は「0」。2本の二塁打を放った4番・谷合 悠斗(2年・左翼手・右投右打・岡山メッツ<ヤングリーグ・岡山>出身)を除いてはスイングスピードの鈍さが目立った。
中でも心配なのは侍ジャパンU-18代表一次候補の3番・西浦 颯大(3年・右翼手・178センチ70キロ・熊本北リトルシニア<熊本>出身)の状態である。岡豊戦での西浦はストレートにも変化球にもタイミングが合わず最終打席に失策で出塁したのみの4打数無安打1三振。高知大会での3試合通算成績はこれで14打数1安打。チーム初戦・高知商戦の第一打席でスローボールを連続して投じられ、タイミングを崩した影響をいまだ引きずっている。
終わってみれば初の決勝戦進出を狙った岡豊を退け9年連続高知大会決勝戦進出を決めた明徳義塾。だが、しかし、この内容が勢いに乗る梼原相手に繰り返されるようでは……。甲子園で勝ち上がる云々の前に、「大会8連覇」という前提条件まで失うことになっても全く不思議ではない。
(レポート=寺下 友徳)
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