東海大高輪台vs帝京
代打・木村のサヨナラ適時打、東海大高輪台、第1シードの帝京を破る
大会もいよいよベスト8の激突だ。7月23日の第1試合は、東東京の第1シード・帝京と、ノーシードから勝ち上がった東海大高輪台の対戦。東海大高輪台はノーシードとはいえ、投打にレベルが高く、隠れた優勝候補といった存在だ。実際に試合は五分と五分でぶつかり合う熱戦になった。
帝京の先発はエースの仁田 龍也。東海大高輪台は、背番号20の左腕、2年生の西原 秀俊が先発した。西原の先発はやや意外な感じがあったが、落ちる変化球を効果的に使い、帝京の強力打線を抑える。
一方東海大高輪台は1回表に1番の青木 海斗が初球を左中間にライナーで運ぶ二塁打で出塁すると、内野ゴロと二失などで生還した。
3回表も、左前安打の青木を2番・森田 直人が送り、3番・大久保 兼匠の三塁手の頭を越えるレフト線の二塁打で生還し、2点をリードした。それでも帝京は、4回から仁田に代わり登板した松澤 海渡が好投。4、5、6回の3イニングで奪三振5の好投で、帝京に流れを持ち込む。
東海大高輪台は、早め早めの投手交代で、帝京打線に対抗する。先発の西原は5回を投げて許した安打はわずかに1本で、無失点に抑えていたが、6回表からは、2番手の鵜飼 康弘を投入した。しかし帝京は鵜飼を捉える。
7回表一死から4番・金村 和広が左前安打で出塁すると、5番・田中 麟太郎が右中間スタンドに入る2ランを放ち、帝京が同点に追いついた。
その裏東海大高輪台は、9番・石川 俊太朗が右前安打で出塁すると、1番・青木が送り、2番・森田の内野安打で一死一、三塁。3番・大久保の遊ゴロが併殺崩れになる間に石川が生還して勝ち越し点になった。しかし、一塁走者の二塁上での走塁が守備妨害ではないかということと、打者走者が一塁アウトで併殺が成立したのではないかと、帝京側がアピール。試合が中断する場面があった。帝京は秋季都大会でも似たように、物議を醸した判定が、決勝点につなかったことがあった。帝京にすれば、判定は覆らないものの、このまま負けるわけにはいかない状況だ。
けれども8回表から東海大高輪台はエースの宮路 悠良を投入。完全に逃げ切り態勢に入った。宮路は140キロ台の速球を投げ込む。ところが9回表、この回先頭の帝京の3番・田中 悠我は、速球にしっかりタイミングを合わせ、ライトスタンドに飛び込む同点本塁打を放った。
本塁打を打たれた宮路は、速球をできる限り封印。球速110キロ程度の変化球を駆使して、帝京打線を抑える。帝京の松澤も安定した投球をしており、試合は延長戦に突入した。
10回裏東海大高輪台は、4番・伊東 翼が三失で出塁すると、5番・米澤 藍が送り、6番・宮路は四球で一死一、二塁。ここで東海大高輪台は、代打に木村 淳平を送る。木村は3ボール2ストライクからの6球目をしっかり叩くと、打球は左中間を破るサヨナラ安打になった。
秋、春と戦力は充実していながら、結果を出せないでいた東海大高輪台が、ようやく本領を発揮し始めた。これまでエースの宮路は、やや一本調子になることがあったが、同点本塁打を浴びた後、投球パターンを変えるなど、精神的な成長をみせた。帝京との厳しい戦いを制した自信を、準決勝以降の戦いにどう生かすか注目だ。
敗れた帝京は、第1シードらしい戦いぶりをみせたが、2つの失策がともに失点に結びついたことが響いた。サヨナラ安打を打たれ、マウンド上に崩れ落ちた松澤をはじめ、メンバーには1、2年生も多い。次の夏に向けた戦いは、始まっている。
(レポート=大島裕史)
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