試合レポート

桜美林vs上野学園

2017.04.04

桜美林全員野球で上野学園・傍島を攻略!山本純走者一掃三塁打で逆転勝ち

桜美林vs上野学園 | 高校野球ドットコム

好投した楢葉 俊宗(桜美林)

 上野学園には、桜美林工藤 真彦監督も「いい選手ですね」と、感心する選手がいる。エースで1番打者の傍島開平だ。秋の1次予選でも、その素材の良さをみせていたが、ひょろとした感じがあった秋とは違い、ひと冬で体重も6キロ増えたそうで、まだ細身ではあるが、随分がっちりした印象を受ける。

 ひと冬越して、球の力強さも増してきたが、傍島の良さは、そのメンタリティーだ。
1回表1番打者でもある傍島は、死球で出ると、牽制にも頭から帰塁する。そしてすかさず二盗に成功する。「高校野球ですから、ピッチャーとかは関係ありません」と、上野学園小川 貴智監督は語り、傍島の姿勢を後押しする。

 2番。捕手の川崎 翔も死球で出塁し、3番の一塁手・坂本 達哉がきっちり送る。ここまでは打順とポジション番号が一致する珍しいオーダーだ。そして4番・田所 佑斗の中犠飛と、5番・繁在家 一郎の右前安打で1点ずつが入る。その裏桜美林は、4番・渡邉 聖太の二塁打で1点を返す。

 しかし桜美林の先発・久富 大輔がピリッとしない。2回表も上野学園は、8番・星野 良輔の二塁打を皮切りに、1番・傍島の中前適時打、2番・川崎のスクイズなどで1点ずつを入れる。まさに傍島が投打で活躍する展開だ。

 一方桜美林は先発の久富は、2回途中で降板し、楢葉 俊宗が登板する。
久富の先発について工藤監督は、「下級生ですが、調子も良かったし、大会の雰囲気を味合わせたかった」と語る。リリーフに立った楢葉は、球威もあり、上野学園に追加点を許さず、桜美林に流れを呼びこむ。3回裏、峯岸 快の中前適時打で桜美林が1点返す。桜美林の工藤監督は、外のボールを打つように徹底させる。その効果が出たのが4回裏の攻撃だ。

 この回先頭の8番・山本 悠人が右前安打で出塁すると、9番・楢葉が送り、1番・伊藤 太一は外の球をしっかり流して右前安打。二塁走者の山本悠は三塁でストップしていたが、右翼手が本塁に送球し、これが暴投となって、山本悠が生還。さらに捕手のカバーに入っていた傍島が、本塁に暴投し、伊藤も三塁に進む。この辺りでは傍島も、独り相撲の状態になっていた。2番・佐藤 洸樹に四球を与え、3番・松井 洸太の左前安打で同点。さらに4番・渡邊の中前安打で満塁となり、6番・山本 純平の右中間を破る三塁打で3人が還り、一気に勝ち越した。

 桜美林は、5回裏に2番・佐藤の二塁打で1点、6回裏には渡邊の三塁打に峯岸の犠打で1点を追加し、楢葉がきっちり抑えて、9対4で桜美林が勝利した。

 桜美林の全員野球が上野学園の傍島を攻略した一戦であり、2回戦に向けても「全員の力で頑張っていきたいです」と工藤監督は語った。

 一方敗れた上野学園の傍島であるが、闘志という気持ちの面では優れているが、気持ちを制御することに課題を残した。力のある選手だけに、夏に向けての成長を期待したい。同時に、カバーリングなど、チーム全体の実力アップも、夏に向けての課題である。

(取材・写真=大島裕史)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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