明徳義塾vs作新学院
序盤のピンチを凌いだ明徳義塾が、4回にビッグイニングで作新学院にリベンジ
ホームランを打った今井涼介(明徳義塾)
この夏の甲子園準決勝の再現となった試合。その試合で大勝し、その勢いで54年ぶりに夏の甲子園を制した作新学院。その立役者となった今井 達也投手(埼玉西武ライオンズドラフト1位)はじめ、メンバーはほとんど3年生だった。それだけに、新チームはどうなのかと思われたが、控えとしてベンチ入りしていた鈴木 萌斗君と添田君を中心として、新チームも快進撃。エース大関君も、秋季大会では試合を重ねるごとに成長を見せて、関東大会を制してこの大会に出場を果たした。
明徳義塾は、夏の甲子園メンバーで残ったのは3番を打っていた西浦君と、1年生ながら5番を任されていた谷合君、そして準々決勝で大当たりした今井君の3人だった。国体出場などもあって、いくらか新チーム作りにも影響があったのか、高知県大会では準決勝で中村に敗れたが、3位決定戦で浮上。そして、四国大会では、力を示して堂々の優勝で神宮大会に進出してきたのはさすがである。
そんな、実績校同士の対戦は朝からの雨の影響で、予定より2時間半遅れでプレーボールとなった。
作新学院は先頭の鈴木 萌斗君が四球で出ると、添田君の一二塁間を破る安打で一三塁とし、さらに二盗で二三塁。いきなりのチャンスだったが、ここを明徳義塾の左腕北本君は何とか凌ぐ。さらに2回、3回は二死から安打を浴びて得点圏に走者を進められるが、堪える。そして、最大ポイントとなったのが4回の攻防だった。
作新学院は先頭の7番大久保君が左前打すると、バントで進むが、加藤君の遊ゴロは今井君が三塁を狙った二走を刺す。それでも、作新学院は鈴木君の安打と四球で満塁と詰め寄ったが、ここも北本君は3番中島君を三振で切って取った。
そしてその裏、今井君が大関君の初球を叩いて左翼スタンドへ運ぶソロホーマーで先制。これで、試合の流れはコロッと変わった。一死後、明徳は谷合君が中前打し、失策と近本君の左前へのポテン安打で2点目。さらに筒井君と北本君が続いて内野ゴロでも得点を重ねて、この回一挙に5点を奪う猛攻となった。
1番・鈴木萌斗(作新学院)
すぐに反撃したい作新学院は5回、小針 崇宏監督は4番大関君に代打石戸君を送り込んだが、石戸君は起用に応えて中前打。暴投で二進して、池澤君の右前打で一三塁。7番小久保君が左犠飛を放って1点を返し、さらに続く七井君も中前打して、2点を返した。
そして、作新学院は2番手として篠原君を送り出したが、篠原君は5~7回を無安打に抑える。しかし、北本君も6回以降は作新学院打線を1安打に抑えてリードをキープ。そして、明徳義塾打線は8回に、篠原君を捉えて一死後谷合君以下、久保君、近本君と3連打で2点を追加した。
作新学院の小針監督は試合後、「序盤の3回までに得点を挙げられなかったことが、いけませんでした」と、何度も先制機を逸したことを悔いた。そして、「投手も打線も単調になっていました。本当の実力はまだないのだということがわかりました。今日の結果を持ち帰って、これを糧にしてさらに厳しく練習していかないといけません」と改めて引き締めていた。
明徳義塾の馬淵 史郎監督は、「四国大会からずっと、伝令を出したら、その後は投手はきちっと押さえとるんですよ。だから、伝令のタイミングは考えましたよ」と言っていたが、この試合でも序盤のピンチで伝令が出た後は、きっちり抑えていた。そして、「前半に、何点取られてもおかしくないような場面を抑えていたので、これで点がこっちに先に入ったら勝てるんちゃうかと思っていましたけれども、その通りになりました」と、守りが辛抱したことを評価した。また、夏の準決勝で敗れた作新学院だけに、意識はしていたという。高知工科大の人工芝グラウンドを借りたり、「神宮大会ではあまりやらない」という相手チームのデータ取り寄せも行い、分析して十分に対策を練ってきた成果が出たともいえる結果となった。
(取材・文=手束仁)
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