鹿児島実vs神村学園
背番号12の左腕、投打に活躍・鹿児島実
先発・瀨川 慶(鹿児島実)
神村学園は初回、4番・田中 怜央那(2年)のレフト前タイムリーで先制する。
その裏、鹿児島実は二死から満塁のチャンスを作り、6番・古薗 康太(2年)のライトオーバー二塁打で逆転に成功した。4、5回は先発の9番・瀨川 慶(2年)のタイムリーで3点を挙げて突き放した。
神村学園は8回、2番・田中 祐大(2年)のライト前タイムリー、3番・島中 大輔主将(2年)の犠牲フライに相手のボークで3点を返し、1点差に詰め寄る。
9回も二死から連続内野安打で粘ったがあと一押し、届かなかった。
鹿児島実は背番号12の2年生左腕・瀨川の投打にわたる活躍などで強豪・神村学園を退けた。
準決勝で神村学園と対戦すると決まってから「3日間、先発を誰にするか考えた」と宮下 正一監督。4回戦の大島、準々決勝の鹿屋中央、神村学園は左投手に苦しんだ印象がある。エース番号の立本 颯(1年)、2年生の瀨川、20番の水頭 逸紀(2年)、3人の左腕の中で白羽の矢を立てたのが瀨川だった。
「練習で一番ボールがきていた」と宮下監督。先発を告げられたのは試合当日球場に来てからだが、練習の時から「自分が投げるような気がしていた」と瀨川は感じていた。
立ち上がりこそ「腕が振れなくて」3安打を浴びて先制点を許したが、2回以降見違えるような投球を披露する。3、6回、いずれも先頭打者を出して、神村が誇る3番・島中、4番・田中怜の中軸を迎えたが「変化球を見せ球にして外角直球勝負」が見事にはまり、打ち取ることができた。打席でも4、5回とタイムリーを放って3打点。貴重な追加点を自らのバットで叩き出したがこちらは「出来過ぎです」。
8回、疲れが見えて腕が振れなくなったところで四球、連打を浴び、2点目を与えて、左翼にいた吉村 陸矩(1年)にマウンドを譲る。だが犠牲フライ、ボークで1点差とされてから再びマウンドを託された。一度マウンドを降りてから再び登板するのは酷な状況だが「レフトとの交代はあると最初から準備はさせていた」と宮下監督。瀨川も「(降ろされて)悔しかったので、次は絶対抑える」気持ちで雪辱に燃えた。後続を断ち、9回は二死から連打を浴びて一打同点、逆転のピンチだったが、踏ん張った。
昨年の1年生大会ではエース番号を背負ったが、新チームになってから伸び悩んだ。8月の鹿児島市内大会の頃は「どん底だった」。だが「エース番号を下級生にとられた悔しさから、再びはい上がることを決意する。フォームをワインドアップからセットに変え、肘も少し下げてスリークオーター気味にした。その努力が実り、今大会初先発のマウンドで最強のライバル攻略に貢献できた。
(写真・文=政純一郎)
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