創価vs早大学院
延長10回、1年生浪川の決勝弾で創価、早大学院を下す
早大学院の木田茂監督が「20年に1人の逸材」と語る好投手・柴田迅に、創価投手陣は3本の矢で立ち向かい、息詰まる投手戦になった。
試合が動いたのは2回表創価の攻撃。この回先頭の6番真下悠人が中前安打で出塁すると、先発投手でもある7番工藤来輝のバントは内野安打になる。その後二死二、三塁となり、1年生の1番門脇誠の左前安打で創価が先取点を挙げる。なおも二死一、三塁のチャンスが続いたが、2番八柄航大の難しい遊ゴロを、早大学院の磯部昂平が好捕し、傷口を広げない。
するとその裏、中前安打で出塁した5番後藤大青を、6番内海良太がレフトオーバーの二塁打で還し同点。なおも無死二塁のチャンスが続いたが、創価の先発・工藤は、続く打者を三者三振に抑え、流れは渡さない。
創価は4回裏から横手投げの岸圭太が登板。いきなり二死二塁のピンチを迎えたが、7番西川佳樹のレフトへの打球を、1年生の浪川広之が背走して好捕した。
さらに早大学院にとって惜しかったのは、7回裏。この回先頭の内海が、ライト線への三塁打を放つ。一死後、8番磯部はセーフティスクイズ。三塁走者・内海のスタートが一瞬遅れたこともあり、岸が本塁へ落ち着いてグラブトスをし、磯部を刺した。
8回裏から創価は、背番号10ながら本来のエースである谷井怜央が登板。谷井のキレのいい球を、早大学院打線は、打ち崩せない。
一方早大学院の柴田も、2回以降は好調な投球。試合は1対1のまま延長戦に突入した。
3人がリレーしている創価に対し、柴田は1人で力投。9回終了時点で146球を投げている。その疲れが出たのか、10回表、創価の先頭打者である、1年生の3番浪川が右中間スタンドに入る本塁打。創価は待望の勝ち越し点を挙げる。さらに打者としても高いレベルにある途中登板の谷井の右前安打などで、さらに1点を追加。
その裏を谷井が三者凡退に抑え、創価が準決勝進出を決めた。
工藤-岸-谷井とつなぐ創価のレベルの高い投手リレーを攻略するのは、至難の業だ。決勝本塁打の浪川ら、1年生選手の動きもいい。春までとは、やや異なる陣容を整えて、創価は準決勝に臨む。
一方、早大学院の柴田は、好投手であることは間違いないが、昨年の春以降、故障が多かった。今年も春季大会前に腰を痛めるなど、故障が続き、投げ込み不足であった。それでも、やるだけのことはやったという満足感からか、柴田の顔からは、笑みが浮かんでいた。
(文=大島裕史)
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