都立狛江vs都立府中工
大宮の雷雲を晴らす決勝2ランで狛江、都立対決制す
この試合の前に行われた日大三と佼成学園戦の熱気が残るスタジアムの上空には、次第に黒い雲が張り出してきた。
都立勢対決となった狛江と府中工の一戦は1回表、府中工が4番吉澤和人の右中間を破る三塁打などで、1点を先制する。
しかしその裏、狛江は、3番大宮瑞基のライト線深くに落ちる二塁打で、すぐに追いつく。
さらに4番吉田優太の左前安打で一死一、三塁となったところで府中工は、先発の背番号10、大膳和史に代えて、背番号11の左腕、井出裕太をマウンドに送る。
代わった井出からも6番宇山英作が右前安打を放ち、逆転。その後、敵失や8番小谷隼平の右前安打などで狛江は、さらに2点を追加する。
その後、府中工は3番手にエースの伊藤将也を送り、ようやく落ち着きを取り戻す。
すると3回表府中工は、走者2人を置いて、4番吉澤が右中間を破る三塁打を放ち2人が生還。1点差に迫る。
上空がまずます黒くなり、雷の前兆である冷たい風が吹き始めた6回表、府中工は一死一、三塁の場面で、7番勝見仁泰がスクイズを決め、同点に追いつく。すると雷鳴が聞こえるようになり、試合は中断。46分後に試合は再開された。
通常、追い付かれて試合が中断すると、追い込まれた雰囲気になるものだが、狛江の選手たちは落ち着いていた。再開後の7回裏、遊撃手の失策で出塁した佐名川拓実を二塁に置いて、3番大宮がライトポール近くに入る、2ラン本塁打を放ち、狛江が勝ち越した。
9回表は、その大宮がマウンドに上がり、走者は出したものの、最後は併殺で切り抜け、6対4で狛江が勝利した。試合が終わった後、この地域には本格的なゲリラ豪雨が降り出した。雷鳴が止んだわずかの時間で飛び出した大宮の2ランで狛江が勝ち越し、最後は大宮が締めた。
次はシード校の創価。大宮を中心にチーム全体でどう立ち向かうか、注目である。
一方敗れた府中工は、初回の4失点が痛かった。力はありながら、結果を残せなかったが、思いを次につなげてほしい。
(文=大島裕史)
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