早稲田実業vs都立秋留台

　じめっとした空気に、強い日差し。梅雨明け間近の夏らしい気候の中、[stadium]ダイワハウススタジアム八王子[/stadium]には試合を見ようと多くのファンが押し掛けた。その視線の先には、早稲田実業と都立秋留台の大会3回戦があった。
早稲田実業は初戦となった2回戦では清宮 幸太郎にも一発が飛び出すなど、11対1と啓明学園を圧倒。詰めかけた高校野球ファンに好調を印象付けた。その強敵に対するは都立秋留台。目標としてきた3回戦突破に向け、なんとも高い壁がそそり立つことになった。

　並ぶカメラに平日なのにほぼ満員の内野席。WASEDAのユニフォームを着た同世代のヒーローたち。目の前の光景に浮足立つなというほうが無理だろう。都立秋留台は先頭の金子 銀佑を四球で歩かせると、橘内 俊治の打球処理をあやまり無死一三塁、そして打順は3番・清宮、スーパー1年生・野村 大樹と続くという大ピンチをいきなり招いてしまう。
都立秋留台ナインはなんとか落ち着こうとマウンドに集まるが、続く清宮が放った打球はセンターの深いところへとぐんぐん伸びていく。すわ2試合連続弾かと球場が一瞬静まる中、打球はフェンス上段に当たり跳ね返る。2点タイムリーツーベースとなり、早稲田実業が早々に先制点を奪う。さらに4番・野村がタイムリーを放ち清宮が生還。気を付けなければいけない相手に続けざまにやられたことで、動揺が広がる都立秋留台。そこを見逃す早稲田実業ではなかった。

　四球とエラーでランナーを溜めると金子が右中間を破るタイムリーで走者を一掃すれば、続く橘内はランニングホームランを放つなど、9得点。ランナーがいなくなったところで仕上げとばかりに清宮が放ったのは、2試合連続となる右中間へのホームラン。結局この回打者15人で10得点をあげ、早々に試合を決めた。

　投げては先発・服部 雅生が都立秋留台打線に四球は出したものの好投。ショート・金子の堅い守りもあり、付け入るスキを与えず無失点に抑えていく。

　こうなってくると、手加減ではないが、攻撃もややトーンダウンすることがありがちだが、この日の早稲田実業はそんなことは無かった。
2回には2点を追加。3回にもエラーや四球を絡めて走者をためては橘内、清宮の連続タイムリースリーベース等で加点。さらには4番・野村の打った瞬間わかるレフトへの大ホームランと16人で12点を奪取。
結局、24対0と大きく都立秋留台を引き離し、コールドゲームを成立させた。

　清宮は4回、シングルヒットを打てばサイクル達成というところだったが、ここは四球を選び出塁。チームの一員として、しっかりと地に足のついているところはいつもながらさすがと言ったところだ。
早稲田実業、次の相手は明大明治。「早明戦」となるこの試合、また[stadium]ダイワハウススタジアム八王子[/stadium]に多くの高校野球ファンが詰めかける事だろう。その観客の前で早稲田実業ナインは再び輝きを見せられるだろうか。ここでまた清宮、野村がアベック弾を打つようなことがあれば、本物のスーパースター軍団として、伝説が今夏新たに刻まれていくのだろう。

(文＝青木 有実子)

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