試合レポート

南稜vs蕨

2016.04.24

試合巧者の蕨に何も仕掛けさせなかった南稜の戦い見事

南稜vs蕨 | 高校野球ドットコム

南稜・宮村君

 当初の天気予報とは違って、上がるはずの小雨は、11時頃まで降り続いてしまった。試合にして、5回頃になってようやく雨が上がった。ただ、若干足場も緩んでおり、こうした要素も、足を使って仕掛けていくにとってはどのように作用していくのかというところだったかもしれない。いずれにしても、展開としてはよくない方へどんどんと流れていってしまったという印象だった。

 初回、先攻のは内野ゴロ二つと三進であっさり終わる。その裏の埼玉南稜は先頭の盛田君が中越二塁打して、星野君も右前打でたちまち無死一三塁。続く高橋君は二ゴロ併殺となったが、その間に三塁走者が帰って埼玉南稜としては必ずしもいい形ではないものの何とか先制点が入った。宮村君が安定しているだけに、先制点はほしかったところである。

 ただ、埼玉南稜は2回も無死一三塁を作りながらもの小長君の粘りの投球に攻略しきれず。4回も一死満塁で盛田君の左飛で三走が本塁を狙ったもののタッチアウト。埼玉南稜ベンチも、いくらかもどかしい展開となっていた。のギリギリの場面での守りも光ったというか、何とかこらえていたという印象だった。

 しかし5回、死球にバントと高濱君の左前打などで一死二三塁として、5番堀君の遊撃ゴロの間に2点目が入った。そして、なおも二死三塁で鳥越君が右前打。埼玉南稜としてはやっとタイムリー安打できれいに得点できたという感じだった。


南稜vs蕨 | 高校野球ドットコム

蕨・小長君

 7回にも埼玉南稜は外野手のグラブをかすめる2本の安打などで満塁として、身長157cm体重52kgという失礼ながら少年野球かという体格の小井土君が、鋭くはじき返して中前へタイムリー打して4点目。宮村君の内容からしても、ダメ押しと言ってもいい追加点だった。

 埼玉南稜は、チームの基礎を作った遠山 巧監督が異動を見据えて昨夏で監督の座を降りて荒井 晶平監督が引き継いでいた。ことに、この秋以降は現在の2年3年生だけで14人という小世帯になっていた。だから、紅白戦さえままならないという状態だった。そんなこともあって、冬の間はむしろ個人のスキルアップを目指しての個人練習が多かったという。自分たちで考えてやっていくという意識が作られている選手たちだけに、冬のメニューをきっちりこなしてきた。小井土君のこ日の2安打などは、まさにその成果と言ってもいいであろう。

 また、宮村君もタテのスライダーを中心にチェンジアップなども混ぜながら、狙い球を絞られてきているとわかると、配球の組み立てを変えるなどのクレバーさも見せた。こうしたことも冬の練習の成果言えるのかもしれない。

 荒井監督は、「もっと走ってこられるのかと思っていましたが、そうさせなかったのがよかったと思います。宮村が、低めへよくコントロールできていたし、捕手もいい配球を作っていたと思います」と、バッテリーを高く評価していた。に仕掛けさせる余地を作らなかった、2安打に抑えた宮村君の好投に尽きるといってもいいだろう。

 の黒須 清人監督は、「攻撃力=打力+機動力」ということを提唱し、「守りでしのいでいくというのはうちの試合スタイルではないんですよ」と、この日の試合展開を振り返る。あえて勝ちパターンを作らないというが、勝ちパターンにハマらなければ負けパターンになってしまうからだと言うが、この日はにとってはまさに負けパターンだった。「こういう残念な負け方は、むしろ、夏へ向かって開き直れます。力はつけるものではなくて、発揮しなくては意味がありませんから、力を発揮できるチームを作っていかなくてはいけませんね」と、夏へ向けて、もうひと伸びしていくというチームがどう変革していくのか、楽しみでもある。

(取材・写真=手束 仁

南稜vs蕨 | 高校野球ドットコム
注目記事
2016年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.15

【島根】出雲商-三刀屋、大田-益田東など初戦から好カード<地区大会組み合わせ>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

獨協大の新入生に専大松戸の強打の捕手、常総学院のサード、市立船橋のトップバッターが加入! 早くもリーグ戦で活躍中!

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?