試合レポート

青森山田vs東邦

2015.11.15

本塁打取り消しでも青森山田、東邦に辛勝

青森山田vs東邦 | 高校野球ドットコム

堀岡 隼人(青森山田)

 青森山田vs東邦の一戦は、雨の影響で2時間遅れのプレーボール。試合開始の頃には雨はやんでいたが、初回から波乱を予感される展開となった。

 1回裏、青森山田は中前安打で出塁した1番・内山 昂思は、捕逸で二塁に。打席には4番・三森 大貴を迎える。三森は2球目をライトフェンスに運ぶ大飛球。分かりづらい打球ではあったが、打球はフェンス上段に当たったかに見えた。

 しかし一塁塁審の判定は本塁打。三森は悠々とベースを回るが、東邦の野手はインプレート同様の動きをし、三塁ベース前で、三森にタッチ。それでも、本塁打の判定が出ている以上、三森は本塁に向かう。
それに対し、この日は投手でなく、右翼手として出場している東邦藤嶋 健人は、本塁打ではないと、大きなゼスチャーでアピール。審判が集まって協議したが、判定は変わらなかった。東邦サイドは納得がいかない。

 すると球審がネット裏の本部席に呼ばれる。この日の試合はテレビ放送もされており、おそらく映像の確認もあったのだろう。審判も誤審を認めた。となると三森は三塁前でタッチされているが、本塁打の判定がされた時点でボールデッドとなっており、三森は二塁に戻され試合が再開された。

 青森山田の兜森 崇朗監督は、「最初から入っていないと思っていました」と語っており、判定が覆ったことによる青森山田への影響はなかった。

 その間に内山はホームインしており、青森山田は1点を先取。さらに東邦の先発・近久 輝は落ち着かない。5番・齊藤 孔明、6番・荒井 裕也に連続四死球で満塁となり7番・工藤 飛馬の打球はショートの深いところへの内野安打となって、青森山田が1点を追加した。

 それでも東邦は2回表に左前安打の5番・小西 慶治が犠打と二、三塁間に挟まれた結果としての盗塁などで三塁に進み、8番・石橋 裕太の犠飛で1点を返す。


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4安打2打点の活躍を見せた鈴木光(東邦)

 しかしながら青森山田は、左前安打の三森が暴投などで三塁に進み、荒井 裕也のスクイズでまた引き離す。

 東邦は4回と6回に痛いプレーがあった。
4回表 、東邦石橋 裕太の左前安打で一死一塁。ここで先発の近久に代わる代打・松山 仁彦はライトフェンスに当たる二塁打。石橋は一気に本塁を突くが、青森山田の中継プレーによりアウト。それでも石橋は、1番・鈴木 光稀の内野安打で生還し、1点差。

 さらに6回表には、石橋と代打の後にマウンドに上がっている松山の連続四球で一死一、二塁。ここで1番の鈴木 光稀の右中間への二塁打。石橋は生還して同点となったが、松山も本塁を狙って、アウトになった。

 東邦の森田 泰弘監督は、「これから上位(打線)なのに解せない走塁ランナーの判断も悪かった」と語った。好機をつかみながら、勝ち越せないことが、東邦に重くのしかかる。
一方青森山田は三塁手の工藤 飛馬がたびたび好守でピンチの芽を摘み、坪井 友哉堀岡 隼人とつないだ青森山田の投手陣を助ける。東邦の2番手・松山も140キロ台のストレートに変化球を織り交ぜ好投し、接戦となる。

 ところが勝負は、東邦のミスであっさり決まる。
8回裏、5番・齊藤 孔明が四球で出塁すると、捕逸と暴投で一気に三塁に。ここで6番・荒井に代えて代打・生田 俊平を送る。生田は高いバウンドの二塁ゴロで、生田が生還し青森山田が勝ち越した。

「スクイズばかりでなく打たないと、と思っていました。代打の子は高いバウンドを打ちそうな感じがしていました」と青森山田の兜森監督は語る。人工芝の[stadium]神宮球場[/stadium]の特徴を生かした代打策の成功で青森山田が勝ち越し、接戦をものにした。

 試合後兜森監督は、「地方大会からずっとこんな試合でした。ミスをしない野球をしたかったですが、よくやってくれました」と語る。
一方敗れた東邦の森田監督は、「基本ができていない。そういう力であることを、真摯に受け止めないとなりません」と語った。藤嶋 健人が投打に注目される東邦であるが、チーム全体の強化は、まだこれからだ。

(文=大島 裕史

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・第46回明治神宮野球大会 特設サイト

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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