試合レポート

青山学院vs都立荒川工

2015.03.22

青山学院、粘る都立荒川工を振り切りブロック代表に!

投げぬいた青山学院・大塚(理)投手

3月22日、春季東京都高等学校野球大会一次予選第4ブロック決勝2試合が[stadium]佼成学園グラウンド[/stadium]で行われた。
第1試合に登場したのは、青山学院都立荒川工。共に2回戦から登場し、青山学院早稲田を相手に6対3。都立荒川工は2回戦で都立五日市・都立五商・都立瑞穂農芸の連合チームを9対0と下し勝ち上がってきた。

2回裏、青山学院は2つの四球とエラーで無死満塁チャンスを作り出す。打席には8番・六車。バントの構えから一転、振り抜いたバットから放たれたのは外野を越える走者一掃のタイムリー三塁打。続く9番・春畑もセンター前へのタイムリーで続き。足が離れたとの判定。その間に走者が2人還りさらに2点を追加。この回一挙6点を奪うことに成功する。

4回表、都立荒川工も反撃に出る。この回先頭の3番・佐藤大睦が右中間に二塁打を放ち出塁。4番・石田翔也の内野ゴロの間に三塁まで進めると、二死三塁から6番・山口拓真がここぞとタイムリーを打ち返し、1点を返す。さらに7番・杉山大雅もヒットで続き、チャンスを拡大させようと勢いに乗る走者は二塁を回って三塁へと進む。しかし青山学院右翼手・六車が冷静に中継を経て三塁へ送球。アウトとなり、さらなる追加点はお預けとなった。

その後得点圏に走者を進めるものの、あと1本が出ない両チーム。
6回表には都立荒川工が一死から連打と四球で一死満塁のチャンスを作り出す。ここで青山学院はタイムを挟みマウンドに集合。やや疲れた顔を見せ始めていた大塚(理)だったが、気持ちが切り替わったか引き締まった顔となる。続く打者を二塁ゴロでダブルプレーに取り、ピンチを脱する。「どんなに点差が離れてもお前1人で行く、と話していた」(青山学院・安藤寧則監督)と、チームを任された主将で1番を背負う大塚(理)の力投にナインも気合が再度入ったか、その裏1点を追加する。

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粘りの好投をした福谷慎吾投手(都立荒川工)

 さらに7回裏、青山学院はエラーと送りバントで一死三塁のチャンスを作り出す。得点は7対1と6点差。三塁から走者が還れば、試合は終わる。決めたい青山学院と、なんとか切り抜けたい都立荒川工のせめぎ合いは、続く打者を2連続でアウトに打ち取りコールドの危機を退けた都立荒川工に軍配が上がった。

結局試合はこのまま7対1で青山学院が勝利しブロック代表を決めたが、試合後都立荒川工の野木淳裕監督は「勝ちたかったですね!やっぱり強いチームを倒したかったです。」と悔しさも見せつつ明るかった。それは、チームの成長を感じられたからだという。

「粘りが出ていたな、と見ている人にも思ってもらたと思いますし、まずそれが一番です。今日の展開もこれまでだったら7回コールドで負けていたと思うんです。でも、そこで気持ちを切らさないようになった。このチームは夏に向かってまだまだ伸びますよ!今は新2年生が戦力の中心なんですけど、新3年生が最後の夏に向けてもう一段伸びてくれれば、さらに強くなれると思います」

そう語る野木監督と片付けやストレッチをする選手達のその後ろで、悔しそうに唇を噛む選手の姿があった。点差は付いたが、序盤に都立荒川工が点を入れられればどう転ぶかは正直わからない試合でもあった。勝ちに対する欲が出てきた都立荒川工は、夏に向けてその悔しさをエネルギーに変えていくことだろう。

一方、本大会出場を決めた青山学院の安藤監督は安堵したようにこう語った。
「先週の公式戦(ブロック2回戦)が大きかったですね。秋は初戦で負けてしまったので経験不足は否めなかったんです。でも前の試合を経験してからのこの一週間は良い意味で選手たちが変わった。キリッとしましたね」
1週間で頼もしく変わった選手達。都大会に向けてもさらなる成長が見込めそうだ。目標は高く置くのか伺うと、「野球ですから、力を出し切っても上手くいかず負ける時もあるし、自分達が目指すことが出来なくても勝てる時もある」と前置きしながらも、期待と自信ものぞかせた。
「まだまだこんなもんじゃない。力を発揮させてあげたい。僕は彼らのもっと良い所を見ていますからね」
そんな青山学院、都大会の初戦は4月2日、東京実と対戦することが決まった。どこまで「化ける」か楽しみだ。

(文・青木有実子)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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