城北vs明学東村山
好守の応酬!「ここで1本」が出た城北が都大会出場へ!
城北先発・西野
9月21日、[stadium]桐朋高校西グラウンド[/stadium]で第16ブロック代表決定戦2試合が快晴の中行われた。
1試合目に登場したのは、昨秋の都大会ベスト16、今秋も都大会出場、そしてそれ以上の成績を狙う東京城北。2回戦から登場し、都立三商を相手に10対0の6回コールド勝ちを収めている。
対するは、ブロック1回戦では都立葛飾商に4対3、2回戦では都立田無工相手に4対2と、接戦を制し粘り強く勝ち上がってきた明学東村山。
明学東村山先発は、本職は野手だという杉田。左打者が多い『東京城北対策』とチーム皆で決めての登板となった。その杉田から東京城北は2番・境が四球を選び出塁。4番・丸岡がレフトへヒットを飛ばし、二死一、二塁と先制のチャンスを作り出す。続く5番・川崎が放ったのは強いゴロ。ライトへと抜けようかというその当たりをセカンドに入った1年生・持田が鋭い反応を見せてギリギリでキャッチ。そのまま一塁に正確なスローイングを見せてアウトに仕留め、明学東村山は無失点で大事な初回を切り抜ける。
4回表、東京城北はこの回先頭の3番・宇野がヒットで出塁すると、エラーと死球で無死満塁のチャンスを作る。この絶体絶命のピンチにも先発・杉田、捕手・岩田のバッテリーをはじめ、明学東村山ナインは落ち着いていた。続く東京城北6番・近藤が放った高くバウンドする打球をジャンプしてキャッチ、本塁に投げてまず1アウト。捕手・岩田はそのまま一塁へ投げて2アウト。そしてボールを受けた一塁手・菅沼は本塁に突っ込んでくる二塁走者を見逃さず、すかさず返球。これを岩田ががっちりと受け止め、3アウト。見事なトリプルプレーを成立させてピンチを切り抜けた。
ピンチの後にチャンスあり。
4回裏、この回明学東村山の攻撃は4番・岩田から。岩田は外野の頭を超える二塁打を放ちガッツポーズ。チームを盛り上げる。続く5番・宮崎がキッチリと送り一死三塁。ここで明学東村山に1本が出れば、試合の流れを大きく引き寄せられる。
だが、東京城北先発・西野も負けるわけにはいかない。一度目を閉じ深呼吸をすると、続く打者を三振、さらに後続をサードのファウルフライに打ち取りこちらもピンチを脱する。
6回、遂に試合が動く。明学東村山は疲れの見える先発・杉田から窪田にスイッチ。この継投を東京城北は見逃さなかった。先頭の1番・櫛田が粘ってショートへの内野安打で出塁、さらに一塁上で窪田を揺さぶる。これがバッテリーエラーを誘い、櫛田は二塁へ。ここで続く2番・境がレフトへ二塁打を放ち、櫛田は一気に本塁へ。遂に東京城北が先制に成功する。勢いに乗る東京城北はさらに、二死三塁から5番・川崎がレフトのタイムリー二塁打で1点を追加。続く6番・近藤も一塁強襲のタイムリーを放ち、東京城北はこの回3点を挙げる。
捕手・4番としてチームを引っ張った岩田(明学東村山)
先制点をもらった東京城北先発・西田はその後、ややコントロールに苦しんだように走者を出すものの、要所を締めて雄叫びを上げ続けた。そして西田から最終回にマウンドを預かった勝沼もキッチリと3人で抑え、笑顔。東京城北が完封リレーで明学東村山を封じ、3対0で勝利した。
試合後、明学東村山の熊谷政広監督は「課題は打つ方ですね」と振り返るようにあと1本が出なかった。
「ただ、負けてしまったけど、勉強になった試合。守備を鍛えるのはこれまで通りだし、より磨きをかけていきたい。今回は故障で出られなかったキャプテンも戻ってきてくれれば、また一つ層が厚くなる。春が楽しみです」と今後のチームの成長に目を細める。
守備は短い練習時間の中でも集中して取り組んでいるそうで、しっかりと鍛えられているだけに、これに攻撃が加わってくれば鬼に金棒だ。
再三素晴らしい守備を見せ「守備力は武器です」と言い切った1年生二塁手・持田は、これからレギュラーを奪取するための冬に向け「足も武器にしていけるよう、足を見せていけるようにまずは塁に出ないと。バッティングをしっかり鍛えたいです」と意気込みを語ってくれた。
また、この試合では3失点と悔しい結果になってしまった窪田も「まだまだウェイトが足りないので体重を増やしてしっかり球威にのせていきたい。」とこれからの時期に向けてしっかりと課題を見つけている。
そんな窪田に熊谷監督も「球威もそうだけど、コントロールも磨こうと一生懸命頑張っているんですよ」と期待を寄せている。
一方、勝利し2年連続の都大会出場を決めた東京城北の徳永博史監督は「ドタバタしてしまいました」と苦笑いを浮かべた。
「危ない場面も結構ありましたけど、そのピンチを踏ん張れたことは収穫です。今度は、ピンチを作らないような試合をしていかないといけないですね。新チームのスタートから、なかなか勝てない時期が続いたんです。イチから、いえ、ゼロからのスタートだと言い聞かせあって、なんとか新チームの色が出てきましたね。」と少し頼もしくなったチームの様子を語ってくれた。
東京城北が目指すは、昨秋ベスト16のさらに上。「ベスト16を少しでも上回る」を合言葉に、先輩たちの残した足跡を追いかけて行く。
(文=青木有実子)