試合レポート

いなべ総合vs県立岐阜商

2014.05.23

投手陣が崩れて思わぬ展開

いなべ総合vs県立岐阜商 | 高校野球ドットコム 

好リリーフの祝大祐(いなべ総合)

 三重県の北に位置する4町が合併してできたのが、いなべ市だがその唯一の高校がいなべ総合学園だ。前身は員弁高校で、01年に総合学科への改編で現校名となった。四日市工で実績を作った尾崎英也監督が異動してきて以来、着実に力をつけてきたいなべ総合。今大会で、2年連続4回目の春季東海地区大会出場となった。すっかり、東海大会の常連校となっている。

 一方、県岐阜商は学校創立110年を迎える伝統校で、春季東海地区大会も3年連続26回目の出場となる。

 そんな両校の対戦は序盤、いなべ総合石垣幸大君(3年)と県岐阜商の高橋純平君(2年)の投げ合いとなったが、3回に石垣君が四球を二つ連発した段階で、いなべ総合の尾崎監督は早くも石垣君を諦めて、二番手として左腕の祝大祐君(2年)を送り出した。

 早い段階で石垣君を下げたことについて尾崎監督は、「まだ、完全ではないですから今日は3回くらいまでと考えていました。ただ、四球が続いたことで、これ以上投げさせると、ぐちゃぐちゃに崩れてしまうという気がしましたから、思い切って代えました」と注目の逸材だけに、むしろ無理させないという考え方でもあるようだ。

 代わった祝君が後続を抑えたことで、流れがいなべ総合に傾いていった。

 4回、いなべ総合は一死から4番中村海斗君(3年)がレフトへヒットを放つと、5番秦琢真君(2年)もセンター前ヒットで繋いでチャンスを広げる。この後、スクイズこそ失敗したものの、7番中園佳宏君(2年)がセンター前ヒットを放って満塁とし、8番に入っていた祝君が押し出し四球を選んで、先取点を挙げた。さらに5回にもいなべ総合は、相手の失策と盗塁で一死二塁とすると、3番水谷祐斗君(3年)のタイムリーで追加点。

 こうして試合の流れを掴むと、6回にも下位打線で好機を作って、2番伊藤将大君(2年)が二者を返すセンター前タイムリー。これで、県岐阜商の高橋君をマウンドから引きずり下ろした。

 


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悔しいマウンドとなった高橋純平
(県立岐阜商業)

 勢いの止まらないいなべ総合は、7回にも中園君や伊藤君の二塁打など5安打で4点を追加した。その裏を、3回途中からリリーフしていた祝君がしっかり三人で切り、コールドゲームが成立した。

 お互いの先発投手が注目されていただけに、ロースコアの展開が予想されていたのが、思わぬ大差のワンサイドゲームとなってしまった。尾崎監督は、「当初は、三人で3イニングずつという継投を考えていたんですけれども、祝がことのほかよく投げてくれましたので、そのまま行ってしまいました」と、思惑以上の展開になったということを話していた。

 ただいなべ総合にとっては、4年前に同じ愛知県開催の東海大会1回戦で、県岐商相手に8点リードをひっくり返されたという苦い思い出がある。
中京大中京の後の試合で、三塁側ベンチという、あの時と同じようなシチュエーションでしたからね…。最後まで気は抜けませんでした」と、尾﨑監督は大差であっても、まったく気持ちは緩めなかったという。

 一方、思わぬ大差で敗れてしまった県岐商の藤田明宏監督は、「実際、今の実力はこんなもんなんですよ。それが、県大会で優勝してしまったもんですから、ちょっと勘違いしかかっていたところもあったんで、ちょうどいい薬になったんじゃないですか」と、選手たちを突き放した。

 スタメンで起用した3番の広瀬将君、8番ショートの大野陸希君、代打で出た村橋主晟君、植田大一君と四人の1年生がベンチ入りしている。「1年生としては、学校生活で初めての試験開けでもあるし、精神的にも疲れが出てきているところだと思います」と、藤田監督は気にかけていた。それでも、夏へ向けては、もう一度1年生から3年生までをシャッフルしてメンバーを厳選していくという方針である。

(文=手束仁  写真=松倉雄太

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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