試合レポート

日大二vs都立大島海洋国際

2013.09.18

コールド負けも、前が見えた大島海洋国際!

日大二vs都立大島海洋国際 | 高校野球ドットコム 

安中渓太(都立大島海洋国際)

 台風18号の影響で大会が順延されていたが、台風一過の17日は晴天に見舞われた。蒸し暑さもないすっきりとした秋晴れである。
日大二都立大島海洋国際との一戦。

 都立大島海洋国際の先発のマウンドに上ったのは背番号9の安中 渓太(あんなか)であった。安中は高校時代から投手を始めた。都立大島海洋国際の林伸生監督が安中に投手を進めたのは理由は「自信をつけるためでした」と話す。

 中学時代、福生リトルシニアに所属していたが、控え選手だった。入学したとき、林監督は安中が自信なさげに見えたようだ。だが都立大島海洋国際は少人数で、レギュラーとして出場しなければならない。
 試合に出場していた安中を見て、肩の強さ、脚力の高さにひかれた。チームは投手が少なく、やらせても面白いと思った。何よりも一レギュラーとして自信をつけさせたい指導者の思いがあった。
「選手に自信をつけさせるには投手をつけさせるしかないんですよね」

 投手に転向した安中はメキメキと実力を伸ばしていき、エースの沖山 寛太(2年)とともに試合を任される存在に。

 実際に見た安中は右スリークオーターから繰り出す速球、特にスライダーの切れ味は私学の好投手のスライダーと引けを取らないものがあり、毎回ランナーを背負いながらも横に鋭く切れるスライダーでピンチを凌ぐ。明らかに安中のスライダーに苦労しているように見えた。日大二の田中吉樹監督は
「あの外角スライダーに、開かずにセンター方向へ打ち返すように指示したんだけど、打てなかったですね・・・。スライダーを生かす配球がうまかった」

 安中の持ち味であるスライダー。これを生かすために内角へ攻めた。死球覚悟で攻めていった。それが功を奏し、右打者は腰が引けた状態で打ちにいく状態になり、内野ゴロを重ねた。その安中を援護しようと打線は4回表、一死二、三塁のチャンスを作る。だが5番川端の痛烈な三塁線の当たりが三塁正面。併殺となり、先制の機を逃す。

 安中は力投を続けていたが、5回裏、日大二の1番坂本が三塁手の失策で二進。犠打で一死三塁になり、3番但野が左超え三塁打で1点を先制。4番横川 隆之佑(2年)の遊内野安打で一死一、三塁。4番横川が二盗して、一死二、三塁となり、5番三草がスライダーを中前安打を放ち、二者生還し、3対0。体を残しながらも左手で合わせて打ち返す。上手い打撃だった。
「あの打撃を選手たちに求めていました。打順が3回り目になってようやく当たり出してきたかな」
田中監督の言葉通り、打線はさらにつながり。6番船岡 直人(2年)の中前安打で一死一、三塁となり、7番斎藤 栄二郎(1年)のスクイズで一挙4点を先制する。


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先発の船岡直人(日大ニ)

 4点を失った都立大島海洋国際。さらに6回裏にも但野の2点三塁打、内野ゴロの間での1点と計3点を追加、7対0に。林監督は7失点の安中をかばった。
「決してめった打ちされたわけではなかったので、守備のミスからですよね。エラーした選手もまだコンバートしたばかりで、ミスが出てしまったのもあります。日大ニさんはそこをついて畳み掛けてくるのはさすがでした」
 内容的には決して悪くはなかった。しっかりと攻めていて、日大ニ打線を途中まで抑えることができていた。均衡した中でも抑える守備力、投球術が求められることだろう。投手を初めた安中はワンランク上の投球を求められるようになったのである。
 打線は7回表に、2番三田 龍一(2年)の三塁打、2番島田 敦士(2年)の右前適時打で1点を返すものの、8回裏に日大ニは8回から登板した沖山から押し出し四球で1点を入れ、8回コールド勝ちとした。

 

 勝利した日大二の田中監督は今のチームを厳しく見ていた。
「コールド勝ちしましたが、チームとしてはまだまだ。まだ大会まで1か月近くありますので、少しテコ入れをしていきたいと思います」

 

 敗れた都立大島海洋国際。林監督は現状はまだまだであるが、これまでのチームと比べると期待値が高いものがあるという。
「それまでのチームと違い、勝とうと思えるチームになったことです。以前はエースの渡辺 祐太郎(3年)に頼りがちでしたが、今は全員がカバーしあっています。能力的に高い子もいます。今度はどうすれば、勝つことができるのか?どんな練習をするのか?大島に帰って選手たちと話し合って、長い冬はしっかりと練習していきたいと思います」
 決意を新たにした。コールド負けでも好投の安中、打線も7回コールド負けから1点を返し、一時は回避できていた。先が見える負けであった。一冬超えて、攻守ともに大きく成長する可能性を感じた。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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