試合レポート

桜丘vs松陽

2013.08.25

雨中の中、桜丘が打ち合いを制し、県大会出場へ前進

桜丘vs松陽 | 高校野球ドットコム 

先発・石橋(桜丘)

 神奈川県のブロック予選は1ブロック4チームの総当たりで行い、2位以上のチームが県大会に進出する。1勝すると勝ち点3、引き分けは1点、負けは0点。そして同じ勝ち点になった場合は得失点差で競う。実力が拮抗した同士の場合、この得失点差が県大会が進出するか、否かが決まる。一発勝負のトーナメントとはまた違って面白さがある。

 川和高校が当番校のMブロックは川和関東学院、神奈川桜丘、松陽が登場。
ここまでの戦績を振り返ると、

◆ 川和 0勝2敗  マイナス2
◆ 松陽 1勝0敗  プラス7
◆ 神奈川桜丘 1勝0敗  プラス1
◆ 関東学院 1勝1敗 マイナス6

 今回は松陽と神奈川桜丘の対決。なんとか2勝目を手にして、県大会出場へ大きく前進したいところだ。

 この日は関東各地に雨が降り、公式戦で行われている千葉、埼玉、神奈川では一部中止になるほど。こちら川和高校グラウンドで開催される神奈川桜丘対松陽の試合は雨の中での試合決行となった。最初は本降りで、グラウンドはぬかるんだ状態になり、選手たちはぬかるんだグラウンドに苦労している様子であった。

 先制したのは松陽
松陽は2番小高 航生(2年)の四球で出塁、3番脇の左前安打、4番三輪 太一(2年)の中前安打で一死満塁のチャンスを作る。ここで5番金巻が遊ゴロ。4-6-3の併殺でチェンジと思いきやわずかに及ばずセーフとなり、併殺崩れで1点を先制する。1点を失った神奈川桜丘の先発・石橋 勇二(2年)。176センチ71キロの右投げ右打ちの投手。

 彼は背筋が強く、テークバックの大きさから可動域の広さを感じ、大きなテークバックから振り下ろす投球フォームは力強い速球を投げられる本格派らしいフォームである。速球は130キロを超えていそうな勢いがあり、神奈川の公立校になるとこんな人材もいるのかと驚かされる。

 だがこの日はぬかるんだ雨の影響で、マウンドが柔らかくなっていたのか、左足の踏み出しが合わず、リリースポイントがばらつきがあり、速球が外れていた。

 神奈川桜丘は3回裏に9番戸田の安打で 1番山崎 勇司(2年)の犠打で一死二塁として2番湯浅 直人(2年)の右前適時打で同点に追いつく。湯浅は二塁へ。3番廣瀬 太一(2年)が四球で歩くと、4番の石橋が左前安打を放ち、逆転に成功する。石橋は打撃も良い。スイングも実に鋭く、打撃もグリップが入りすぎたり、余計な動作を入れることはなく、無駄な動作がないシンプルで筋の良い打撃ができている。投打ともに才能溢れる選手だ。


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二番手で登板した福間(桜丘)

 だが4回裏、松陽は2番小高が四球で出塁、3番脇の犠打、4番三輪の中前安打で一死一、三塁のチャンス。5番金巻の左前適時打で同点に追いつく。坂元の三飛で二死一、二塁。7番大舘に死球を与えたところで降板。二番手に左腕の福間 一史(2年)を投入する。だが制球が定まらず二者連続押し出し四球で、2点を追加し、4対2。連続四球を出した後は後続を締めてピンチを切り抜ける。二番手の福間もまだ制球力に課題を抱えるが、左オーバーから繰り出す速球は120キロ台ぐらい。しっかりと腕が振れて、指にかかったときの速球は光るものがある。

 6回表に神奈川桜丘が反撃。8番境入 尚行(1年)が左前安打で出塁、9番戸田の犠打失敗で一死一塁のままだが、1番山崎の三塁内野安打で一死一、二塁とすると、2番湯浅は犠打。これを投手が暴投し、一死満塁のチャンスに3番廣瀬の右前適時打で1点差として、4番石橋に2点適時打を打たれたところで先発の岡村 拓実(1年)は降板。2番手に西口 敦弥(2年)がマウンドに上る。5番谷口は四球で、6番の中前適時打で1点を追加し、6対4とする。

 神奈川桜丘は石橋という投打の軸はいるが、その前後を打つ打者もしっかりとつなげることができていて、守備も足場が悪い中、よく守っている。松陽は敗れたとはいえ、先発の岡村は手足が長く、なで肩の投手体系で将来性のある右腕だと感じた。縦の振りから繰り出す速球は綺麗な回転がかかっており、今後も注目したい投手であった。

 神奈川桜丘は県大会出場へ大きく前進。次は関東学院
関東学院に勝利するか、関東学院は仮に勝利しても、神奈川桜丘に5点以上の差をつけて勝たない限り、得失点差が逆転されることはない。松陽は勝ち点3のままだが、得失点差は5なので、川和戦に勝利すれば、得失点差はトップなので、ほぼ当確。関東学院が県大会出場するには神奈川桜丘に5点以上の差で勝利して、神奈川桜丘に得失点差で上回ることが最低条件になる。このように次の戦い、次のスコアを想定しながら戦うのがリーグ戦とトーナメント戦の違いだろう。明日がMブロックが一番盛り上がるカードになる。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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