帝京vs日大三
6回に本塁打を放った6番・太田(日大三)
延長11回の投手戦!帝京エース清水が力投
春季東京都大会決勝戦、帝京と日大三の一戦は投手戦となる。
日大三の先発は、荻野佑眞。帝京は2年生エースの清水 昇がマウンドに上がった。
2回、帝京は四球で出たランナーを犠打と内野ゴロの間に三塁へ進めると、7番山﨑康誠のタイムリーで1点を先制。
4回には、4番石川 亮が左中間への二塁打を放つと、5番北條 洲が犠打を決め、一死三塁の好機を作る。
続く6番・岡部恵士の打席で、カウント2ボール1ストライクからの荻野の4球目がワイルドピッチとなり、三塁走者の石川が生還。2対0と帝京が試合をリードする。
追う日大三は、5回を終わって散発の4安打。帝京のエース・清水のフォークボールを攻略できず、ここまでで7三振と苦しんでいた。
しかし6回。準決勝までの5試合で61得点を奪ってきた日大三打線が奮起する。
先頭の3番河津和也は、四球を選び出塁。4番戸所秀輔が犠打。5番・佐々木 優はレフトフライに倒れるも、二死二塁の場面で打席には6番太田和輝。
フルカウントまで粘った太田は、6球目。真ん中に入った清水の一球を見逃さなかった。太田の一振りは、レフトの頭上を越え、フェンスオーバー。2ラン本塁打となる。
ついに同点に追いついた日大三は、勢いそのままに得点を重ねたところだったが、清水も粘りのピッチングをみせる。
「昨日の試合でいい投球が出来なかったので、今日こそは崩れずに最後まで頑張って投げたいと思っていました。本塁打を打たれたあとも、自分のテンポで投げていて打たれたならしょうがないと、割り切ることが出来た。あの一球もそうでしたが、打たれた時は体が開くことが多かったので、左手で壁を作って体が開かないように意識しながら今日は投げました」
そう振り返る清水は、7回以降は再び無失点投球を続ける。
帝京もまた、6回裏に4番石川が二塁打でチャンスを作るも、ここで先発・荻野に代わった二番手・釘宮光希に抑えられる。試合は、そのまま延長戦へと突入する。
力投とした2年生エースの清水(帝京)
延長10回、日大三は二番手の釘宮が先頭打者に四球を与えると、小倉全由監督はマウンドにエース大場遼太郎を送る。大場もまた、2番田中将也に四球を与え、一死二、三塁と帝京は勝ち越しのチャンス。ここで、この日2本の長打を放っている4番石川に打順が回る。
大場と石川の勝負。大場がフルカウントまで追い込むと、最後は高め真っ直ぐを石川に振らせ、三振に斬って取った。続く5番北條も内野ゴロに打ち取り、ピンチを凌いだ大場。
これで流れを掴みたい日大三だったが、その裏の攻撃でも清水の変化球を攻略できず2三振。ランナーを出すことが出来ない。
そして、延長11回。帝京は、先頭の浜田弘幸が四球。7番山﨑康誠が犠打で、一死二塁とすると、続く8番田島の打席。
1ボールからの2球目が大場のワイルドピッチとなり、浜田は三塁へ進む。一死三塁の場面で、帝京の前田三夫監督が仕掛ける。
「前の回でもチャンスで点が取れなかったので、もうスクイズしかないと思いました。迷いはなかったです」(前田監督)
2ボール1ストライクからの4球目、田島はスクイズを敢行。
今大会、長打だけでなく、犠打も有効的に使い、得点を重ねる場面が目立った帝京。この大事な場面でも、しっかりと決めてきた。三塁走者の浜田がホームに生還し、勝ち越しに成功。
その裏清水は打者3人で抑え、延長11回の末、3対2で日大三との対決を制した。
優勝を決めた帝京の前田監督は、試合後、
「いいゲームでしたね。試合前はもっと(相手に)点を取られることを予想して、投手3人つぎ込もうと思っていたけど、今日は清水が丁寧に投げてくれました。ボールも低めに決まっていたし、コントロールも良かった。いい自信になったと思います。秋の大会で、簡単に負けたので、その悔しさを持ってこの冬、選手たちがよく頑張って練習していたと思います。秋の大会を反省をして、その原因を追究しながら、練習を重ねてきました。バッティングについても、選手たちが素直に取り組んだことで秋から随分と変わりましたね。バットを10センチほど短くもって、小さく振るように徹底してきたんです。またキャプテンの田中や、石川もチームをよくまとめてくれました」と、今大会を振り返った。
接戦の末、惜しくも敗れた日大三の小倉監督は、
「打てなかったですね。チャンスの場面で、一本出るか出ないかが、勝敗の差。まだまだですね。去年は春ブロック予選で負けて経験が積めないまま夏に挑んだけど、今年はここまで勝ち上がって試合を経験できたことは選手たちにとっても良かったと思います。夏までにしっかりと練習して、この敗戦もプラスにしていかないといけないですね」と語ってくれた。
それでも、ここまでの日大三の勝ち上がりをみても、1試合平均10得点。失点も平均1.5点と、投打ともにレベルの高さをみせた。
帝京、日大三の両校も出場する関東大会は、5月18日(土)から5日間、栃木県で開催される。
(文=編集部)