試合レポート

日大三vs二松学舎大附

2013.04.27

日大三vs二松学舎大附 | 高校野球ドットコム

この日6打点の戸所君、本塁打を放ちホームへ向かう

日大三、強力打線の破壊力見せつけた16点だったが…

 甲子園出場には直接関係がない春季大会である。しかし、過去15年の東京都大会の優勝校を見てみると、日大三帝京が6回ずつというのはさすがである。そして、今年も結果的には、その両校が決勝に残ることになった。やはり、東西東京でもっとも安定した実績のある両校ということが言えそうだ。

結果的には、その日大三が、持っている力を十分に示した試合となった。

これに対して二松学舎も春は4回の出場実績があり、夏は何度も東東京大会決勝で苦汁を飲まされている。それだけに、この大会では夏のシード権獲得は絶対条件であり、四隅の一角が得られる第1、第2シードを獲得することで夏の大会を優位に進めることができるのだ。

その条件を果たして、次なる高みの関東大会を目指して挑みたい二松学舎である。

昨年の鈴木誠也(広島)のような、突出した選手がいるというわけではないものの、今年はチームの全体の雰囲気としては市原勝人監督も、「まとまりもよく、面白いチームになりつつある」という手ごたえを感じているところだという。先週の準々決勝では23対0という記録的な大差で勝利しての進出である。日大三に対して、どんな戦い方をするのか期待が集まった。

先制したのは二松学舎だった。2回、先頭の5番秦 匠太朗君がセンター前ヒットで出ると、バントと石黒隆一君のレフト前ヒットでつないで一、三塁。8番大貫 純君はサードゴロで併殺かと思われたが、送球ミスもあって三塁走者が生還して挙げたものだった。

しかし、さすがに日大三の爆発力はすさまじく、3回にすぐ反撃。一死一、二塁から河津君の当たりは、ピッチャーの大貫君としては打ち取ったかに思えたものだったが、詰まった打球がライトの前にポトリと落ち、しかも打球はファウルグラウンド方向へ転がる二塁打となる。さらに、四球などもあって二死満塁で6番戸所君がライト線へ三塁打を放ち走者一掃。この回4点が入って逆転に成功した。


日大三vs二松学舎大附 | 高校野球ドットコム 

日大三・石田君

 こうなると、やはり日大三ペース。4回にも二死から石田 鴻太君、稲見君の連続二塁打で加点すると、5回には戸所君の2ランが出て試合はワンサイド気味になった。8回にも犠牲フライを放っている戸所君はこの試合では6打点である。背番号19をつけているが、しっかりと存在感を示した。

6回にも2点を追加した日大三は、9対2として、そのままその裏を抑えればコールドゲームというところだった。ところが、二松学舎も抵抗を示して、先頭の1番上田君が二塁打を放つと、バントと行方(なめかた)君のタイムリーで一旦はコールドを逃れた。ただ、8回に日大三の打線が大爆発。満塁から大場 遼太郎君の二塁打に、9番湯本君の2ラン、石田君のソロという連続本塁打などもあってこの回7点が入り、結果的には16対3という大差の試合になってしまった。

もっとも、試合後は日大三の小倉全由監督も、「(結果としては16対3になったが)本当は、7回でピシャリと抑えて9対2で勝たなくてはいけない試合でした。また、指揮官としてもそうあってほしいと思っています。それが、先頭打者に簡単に真ん中に入っていって打たれてしまうという当たりが、まだまだ(大場投手の)課題ということでしょうね」と、8回の大量点にも浮かれることなく、むしろ反省材料を見つけ出していた。

それでも、「秋に負けて、冬の練習では振り切ることをテーマとしてやってきたのですが、打者はそれぞれ、大分しつこくなってきていると思います」と、打線の仕上がりは好調のようである。

思わぬ大敗となってしまった二松学舎は、大貫 純君が崩れてしまうと、こういうことになるという脆さも露呈してしまった。二番手として投げていた関根君も、球の力はあるのだが、制球が定まらない分だけ、苦しくなってしまう。市原監督としても長いイニングを任せられないという不安があるようだ。

(文=手束仁)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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