早稲田実業vs都立松が谷
タイムリーを放つ6番・吉見健太郎(早実)
早稲田実業がコールド発進!都立松が谷は再びリベンジ誓う
初回、早稲田実業は都立松が谷先発・工藤誠也を攻め立て、ヒットの後の四死球で1死満塁のチャンスを迎えると、5番・織原葵のレフトへの犠牲フライで先制。更に死球で押し出し、追加点を挙げる。
二回、先手を許した都立松が谷はこの回先頭の4番・鈴木泰祐が左中間を破るツーベースで出塁。バンドで送った後、8番・井手悠太が火の出るような打球をセンター前へ弾き返し、1点を返した。
その裏、早稲田実業はすかさず9番・二山陽平が出塁。チャンスを作ると、ワイルドピッチ等都立松が谷の乱れに乗じ、この回一気に4点を追加。都立松が谷に傾きかけた流れを一気に引き戻した。
その後互いにチャンスを作れないまま進んだ七回裏。早稲田実業は6番・吉見健太郎のライト前タイムリーで追加点。
その後、制球が乱れる都立松が谷・梅津大志から押し出しの死球を選び、8対1とし、規定により7回コールドゲームとなった。
都立松が谷の狩野邦彦監督は試合後「ウチは守りを固めて勝つというスタンスなんですけど、肝心の守りでミスが出てしまった」と悔しそうに振り返った。
先発・工藤誠也(都松が谷)
実はこの試合、都立松が谷は並々ならぬ気持ちで挑んでいたという
「早稲田実業とは、少し前夏に戦って、コールド負けをしているんです(2011年夏第93回西東京大会2回戦0対10)。それでどうしてもリベンジだ、というので来たんですけどね。安打では互角だったのに、肝心の守りで負けてしまって何やってるんだ、という感じです」
その守備の乱れについて、言い訳はしたくないけど、と前置きをしたうえで「春先の調整の難しさも響いたのかもしれない。日程も2日ほどずれて、一日おきに投げていたりで、ピッチャーも大変そうだった」と選手を気遣う様子も見せた。
また、早稲田実業が誇る大応援団も、早実ナインの力になったようだ。
「点を取られたら紺碧(紺碧の空)歌われるけど、自分たちの応援歌のつもりでいろよ、とは言っていたんですけどね。普段、あまりお客さんが多くない環境でプレーをしていて、それで今日。やっぱり正面向いてスタンドにあれだけ人がいるというのは緊張するでしょうね。いい経験になったんじゃないですかね」
ただ、振り返ってばかりもいられない。「決して、まったく通用しないというのではないことが選手もわかったんじゃないでしょうか。夏に向けて、鍛えていくところが私も選手もわかりました。また鍛えてきますよ」そう力強く語り、笑顔とともに夏に向けリベンジを誓った。
(文=青木有実子)