試合レポート

都立高島vs都立武蔵

2013.04.06

都立高島vs都立武蔵 | 高校野球ドットコム 

先発した齋藤武尊君(都立高島)

初戦の硬さは否めなかったが、高島シード校の意地を示す

 昨秋の東京都都大会では東海大菅生都立城東桜美林と、ここ15年以内に甲子園出場実績のある学校を軒並み撃破してベスト8に進出した都立高島。21世紀枠代表候補の東京都推薦校にも選ばれた。その自信を持って、一冬越してどんなチームになっているのか、楽しみでもあった。

ところが、試合後の島修司監督は、「この試合に限って言えば、マイナス方向を見せることになってしまいました。安打も相手の方が多いですよね」と、何とか勝ったものの、その内容には大いに不満ありという表情だった。

都立高島のエース齋藤武尊君は、181㌢68㌔のしなやかな右腕で、最速は140キロ前後も記録するストレートと、切れ味のいいスライダーが武器なのだが、この日は公式戦初戦ということもあり、いくらか力みも見られた。それに、立ち上がりに先頭の山下君に中前打されたことも力みに拍車をかけることにもなった。球も幾らか上ずり気味になっていたし、内側を突いていく投球も2つの死球を含めて6四死球とやや制球力も欠いていた。

もう一つ、マウンドがフィットしなかったところもあるようだったが、そのあたりは投げながら自分で修正していってほしいというのは、島監督の思いでもあった。
それでも、8安打されつつも1失点で、8奪三振というのは、それなりに要所は抑えたということであろう。

都立高島は3回、2死一二塁から4番田村君が中越三塁打して2者を返し先制。ところが、その裏にやはり4番の足立君に三塁打されて1点差と追い上げられる。しかも、4、5回は3人ずつで終わるなど、流れはむしろ都立武蔵に傾いていた。

それが6回、振り逃げと四球で出た走者をバントで進めて、齋藤武君が中前打して2者が帰った。自らのバットで投球を楽にしたのだ。9回にも、代打鎌田君がタイムリー出してダメ押し点を挙げて、9回は3人でピシャリと抑えた都立高島。最後は、何とかシード校らしさを見せられたという形だった。

島監督も苦笑しながら、「やっぱり、初戦ということもあったとは思います。ただ、チャンスで奇跡的に長打が出たり、安打が出ましたけれど、それがなかったらどうなっていたことかと思います」と言いつつも、シード校としてまずは初戦突破で安堵していた。


都立高島vs都立武蔵 | 高校野球ドットコム 

都立武蔵バッテリー

一方、わずか11人の選手でシード校に善戦しながらも及ばなかった武蔵。細かいところでのミスも痛かった。池上茂監督は、「投手は持ち味を出すことができましたし、悪くなかったのですが、チャンスはあっても勝負所で打てませんでした。2月には学芸大の及川コーチ(東大出)が来てくれて、おっつける打ち方を教えて貰って、その成果も出ていたかとも思っていたのですがね…」と、残念がった。

それでも、チームとしては元気よく声を出して、ミスをしてもポジティブだった捕手の曽田君はじめ非常に明るい、いい雰囲気だった。

都立の中高一貫校となって3年目の都立武蔵。中学には野球部がないので、経験者がそのまま上がってくるのは、中学時代にクラブチームでやっていた生徒に頼るしかない。高校段階で外部から2クラス分の生徒が入学してくるというが、その中から野球経験者を見つけて勧誘していくのも、池上監督としては、大事な作業となる。何せ、2年生は二人しかいないのだが、新チームのことも考えると、是が非でも7人以上の新入部員は確保したいところである。

部をチームとして維持させていくことも、都立校の顧問としては大事な仕事なのである。初めて野球をするという生徒の入部も歓迎しているという。受け入れてくれる、上級生たちのムードも非所にいいと思って大丈夫だろう。

(文=手束仁)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.30

【春季栃木県大会】夏への布石が着々と成果を挙げた! 文星芸大附が堅い守備で完封勝利!ドラフト候補・堀江は最速146キロをマーク

2024.04.30

大阪大などに卒業生を輩出する進学校・三国丘  文武両道を地で行く公立校は打倒・強豪私学へ「何かしてやりたい」

2024.04.30

【北海道】昨秋優勝の旭川実と春季連覇中の旭川明成が初戦で激突!<春季全道大会支部予選組み合わせ>

2024.04.30

【岩手】宮古、高田、久慈、久慈東が県大会出場へ<春季地区予選>

2024.04.30

【春季愛知県大会】享栄がまとまりの良さを見せて、豊川に完封勝利で決勝進出

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.28

【広島】広陵、崇徳、尾道、山陽などが8強入りし夏のシード獲得、広島商は夏ノーシード<春季県大会>

2024.04.28

【岡山】関西が創志学園に0封勝ちして4強入り<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける