上野学園vs明大中野
竹下 大智(上野学園)
9回二死から同点劇!上野学園が延長12回の激戦を制す!
春季東京都大会は雨により4月2日、3日が順延。4日は久しぶりの青空模様。2日目を迎えた。こちら[stadium]駒沢野球場[/stadium]では上野学園対明大中野、都立富士森対都立杉並の2試合が行われた。
まず第1試合の上野学園対明大中野。序盤は我慢比べの対決だった。明大中野の先発・南 周平は2回の三者凡退以外、常にランナーを背負う投球。だが要所を締めて無失点。上野学園の先発・竹下 大智は左腕から速球、スライダー、スクリューをテンポ良く投げ分け、明大中野打線を抑えこんでいく。
試合展開を見ていくと2回以外、毎回ランナーを出していた上野学園が押していたが、あと一本が出ず、試合は0対0のまま7回へ。試合は7回表、無死から3番安部 野生が右中間を破る三塁打でチャンスを作ると1死三塁から5番松原 大樹の中前適時打で1点を先制する。
1点を追う上野学園は二死から8番角田 侑介が左中間を破る二塁打で、チャンスを作ると9番竹下の代打・重本 和也が右中間を破る二塁打を放ち、同点に追いつく。
明大中野は驚くような攻撃に出る。1死から9番賀川 友貴(2年)が四球で出塁。1番高橋 勝信(3年)の犠打から二塁をまわった賀は三塁へ上野学園の一塁・重川は慌てて三塁へなげるが送球が逸れてしまい賀川がホームインし、2対1と勝ち越しに成功する。バントで送ってランナー二塁。上野学園の想定を上回る快走であった。
そして試合は9回裏二死まで進んだ。打席は1番滝田大樹(3年)。滝田が打ち上げた打球はレフトへ。これで試合が終わったかと思われたが、レフトが目測を誤り後逸。打球は左中間へ転々と転がり、滝田は全速力で駆け抜け、三塁へ。二死三塁で同点のチャンス。2番鈴木が必死にボールに食らいつき、右前適時打で同点に追いつく。明大中野は後一人で勝利がすり抜けた。
鈴木(上野学園)
試合は延長戦となり、両者譲らず迎えた12回の裏、同点のきっかけとなる三塁打を放った滝田が左前安打で出塁。2番鈴木が犠打。投手前へ転がし、南が一塁へ送球するが、送球が逸れて、滝田は三塁へ。そして鈴木が二塁へ進み、無死二、三塁で、サヨナラのチャンス。無死二、三塁から3番澤田がセンターの頭を超え、サヨナラ安打で上野学園が延長12回に及ぶ熱戦を制し、2回戦進出を果たした。
実力的には差はなく、明大中野の相手の隙をつく走塁は見事だった。南投手の粘り強い投球も気持ちが折れずにしっかりと打者を打たせて取ることを意識し、12回まで粘り強く投げ抜いた。だがたったひとつのミスで同点を許し、そして延長サヨナラ負け。一瞬にして相手に流れを傾かせてしまった。改めて野球の怖さ、そして1球、1プレーを確実にこなす大事さを感じた試合ないだろうか。上野学園は勢いにのる形で、都立富士森と対戦する。
(文=河嶋宗一)