北照vs駒大苫小牧
抱き合うバッテリー(北照)
全道216チームの頂点をかけて、全校応援の決勝戦!
今年も優勝決定のマウンドにはこの男がいた。
北照のエース・大串和弥(2年)。駒大苫小牧相手に5点を失ったが、打線がそれ以上に援護し、見事2年連続優勝投手となった。
「周りのみんなに助けてもらいました。本来の粘り強いピッチングができました」と満面の笑みを見せたエース。
ベンチで見守った河上敬也監督は、「大串と心中」と話したように、ゲーム中に控え投手をいっさいブルペンに向かわせなかった。
「昨年のチームから残った選手が多く、完成されたチームだったので、この大会は優勝を狙っていました。プレッシャーはありましたが、心の通じた野球ができました」と感無量の様子で指揮官は語った。
全道216チームの頂点をかけた決勝戦。両校とも全校応援とスタンドも盛り上がる中始まった。
立ち上がりを支配したのは北照。1回、二死走者なしから3番吉田雄人(2年)が左中間へ二塁打を放つと、4番小畑尋規(2年)のレフト前ヒットで一気に本塁まで還ってきた。
2回には1番高山大輔、3回は6番西谷圭祐(ともに2年)がそれぞれ二死からタイムリー。駒大苫小牧の守備陣に、三者凡退の機会を与えず、確実にチャンスをものにしていった。
その裏、駒大苫小牧の1番若松大地(1年)が2ランを放ち1点差となる。
ただ、5回に吉田がセンターへタイムリーを放ち、次の1点は北照が奪った。
ここまでの展開は、着実に得点を重ねる北照が優位ではあったが、駒大苫小牧にとっても1イニング最少失点で切り抜けるいつもの展開で、流れは少しずつ駒大苫小牧に傾いていた。
その流れを活かし、5回裏に1番若松のタイムリーと、3番小山功太(2年)の二塁打でついに追いついた駒大苫小牧。
だがマウンドの大串は、「自分達は1点差で勝つ野球を目指してきた」と追いつかれても冷静さを忘れてはいなかった。逆転のピンチは続いたが、セカンドフライに打ち取って前半を終えた大串。
リ・スタートの6回。両チームとも走者を出すものの、バックが守り無得点になる。次の1点をどちらが取るのかが、次第に重みを増し始めた。
北照 連覇を果たしあっという間に輪ができる
そして7回表。北照は先頭の高山が四球で出塁すると、2番五十嵐竜太郎(2年)は送りバント。これがピッチャー・吉尾洸介(2年)の悪送球となり、無死一、三塁となる。
打席は3番で主将の吉田。
吉尾の1球目はフォーク気味の球でストライク。2球目、同じような球が来た。バットをちょこんと出した吉田。打球は風に乗ってセンターへ飛ぶ。三塁走者の高山が還って、犠牲フライとなった。
「出来ればヒットを打ちたかったけど、フォークがきたので」と話した吉田。技ありの一打が結果的に決勝点となった。
8回、ピッチャーの大串自らがタイムリー二塁打を放って勝負を決定づけた北照。今夏までの旧チームのメンバーが、新チームでもほとんどスタメンに名を連ねる構成。豊富な経験が、2年連続の“全道頂点”を掴む要因となったのは間違いない。
一方、7年ぶりの全道制覇が惜しくも叶わなかった駒大苫小牧。佐々木孝介監督は、「あと一つ勝つ為の何かが足りない」と話した。
この決勝でも、1イニング最少失点でスタイルを見せてはいた。ただ、7回にミスが絡んで、無安打で失点を喫したことが勝負のポイントになった。
[stadium]円山球場[/stadium]の舞台は2011年夏以来。現チームでは、主将の高橋一真とショートの青木健太(ともに2年)だけがその時1年生でグランドにいた。それ以外の選手はこの独特の緊張感が初めての選手ばかり。
少なくても、今日の時点での経験値では北照に分があった。
でもこれが終わりではなく、来年へ向けてのスタートだ。
振り返れば、今夏の南北海道代表だった札幌第一は、昨秋と今春に全道の決勝で敗れているチーム。ライバルに負けることでそれを乗り越えようと、強くなった。
熱くチームを鼓舞する高橋主将を中心に来年、この円山で王者を目指す。
北照 | TEAM | 駒大苫小牧 | ||
守備位置 | 氏名 | 打順 | 守備位置 | 氏名 |
9 | 高山 大輔 | 1番 | 7 | 若松 大地 |
4 | 五十嵐 竜太郎 | 2番 | 6 | 青木 健太 |
8 | 吉田 雄人(主将) | 3番 | 5 | 小山 功太 |
2 | 小畑 尋規 | 4番 | 9 | 桑田 皓太 |
6 | 富田 魁仁 | 5番 | 3 | 中川 優 |
5 | 西谷 圭祐 | 6番 | 2 | 高橋 一真(主将) |
3 | 土門 愛大 | 7番 | 8 | 伊藤 優希 |
7 | 澤田 拓海 | 8番 | 1 | 吉尾 洸介 |
1 | 大串 和弥 | 9番 | 4 | 藤田 亮 |
(文・写真=松倉雄太)