高知商vs高知海洋
サイドハンドから豪快に投ずる高知海洋先発・山本侑(3年)
高知海洋、夏への手ごたえ得る惜敗
1回裏は4番・山川健太(2年)に、7回裏には5番・森卓司(3年)に浴びた適時打が痛手となり0対2。高知海洋は惜敗に終わった。だが、この惜敗は単なる惜敗とは訳が違う。相手は夏のシード権獲得への当落線上にあり完全本気モードの高知商業であるからだ。
その核となっていたのは右サイドハンドの山本侑、4番も張る入福土生旺の3年生バッテリーである。
山本は昨秋から明らかに威力が増したストレートと、「冬に覚えた」(柳本朋幸監督)シンカーが右打者を翻弄。
終盤は明らかな疲労から四死球を連発(計8個)反省材料だが、試合序盤を眺めていた明徳義塾・馬淵史郎監督をして「あの角度から曲がったら右打者は打てん」と言わしめるキレはバッテリー共々十分自信をもってよいだろう。
「私の策が裏目に出てしまった」と柳本朋幸監督はエンドラン、盗塁失敗が相次いだ自らの采配ミスを責めたが、それもチャレンジできる状況で得られた貴重な夏への蓄積。
これを彼らがいかに感じ、いかに活かすか。それさえできれば高知海洋が夏に一大旋風を巻き起こす可能性は、極めて高い。
(文=寺下友徳)