試合レポート

木更津総合vs木更津

2012.04.17

木更津総合vs木更津 | 高校野球ドットコム

木更津総合・平野

木更津総合 11得点を上げる猛攻で県大会出場を果たす

 千葉県第8ブロックは拓大紅陵志学館、新進気鋭の千葉国際、そして08年夏甲子園出場の木更津総合と実力校が揃うブロックである。その中で木更津総合は打力においては県下NO.1の迫力があるチームだ。毎年ベスト16に絡む安定した戦いを見せていたが、最近は打撃戦になることが多い。打撃戦ということは投手陣に不安があり、打線はそれだけの破壊力があるということ。千葉県で木更津総合以上の打力があるチームは殆ど存在しないだけに、守備面に不安をなくすことがカギになる。

 木更津総合は速球派右腕・黄本創星の先発が予想されたが、地区予選だからこそ試したいということで平野が先発となった。平野は真っ向から振り下ろす右腕で、纏まっていて試合を作れる投手と五島監督は信頼して送り出した。その平野は簡単にツーアウトを取った後、突如、乱れ出す。木更津は3番小倉が四球で出塁すると、ダブルスチールで、三塁へ。

そして4番鹿島の時に制球を乱し、ワイルドピッチ。木更津が思わぬ形で一点を先制する。鹿島は四球で歩き、5番村越も四球で歩き、6番栗林に打席が回った。栗林はストレートを捉えて、センター前ヒット。センター三國が後逸し、その間に二者生還。木更津が3点を先制する。

だがすぐに取り返せるのが木更津総合打線の恐ろしさ。一死から2番大澤が左前安打で出塁。3番三國が右中間を破る二塁打で、一死2,3塁のチャンスを作る。4番秋葉は四球で無死満塁となって、5番杉崎が左中間を破る走者一掃の二塁打で一気に同点に追いつく。

 3回の表、木更津はまたも栗林の二塁打で勝ち越しに成功。先発・平野はノックアウトし、二番手に左腕の及川を投入。及川は後続を締める。

 
4回の裏、木更津総合は一死2,3塁のチャンスを作り、3番三国。三国は外角直球を振り抜き、レフトの頭を超える二塁打で、逆転。一年秋から活躍を見せている三国。一年では核弾頭だったが、最終学年になった今はクリーンナップとしてランナーを還す立場となった。しっかりと仕事を果たし、逆転に成功。木更津の先発・杉浦をノックアウトし、背番号1の佐藤を投入。木更津総合は攻撃の手を緩めず、二死二塁から杉崎の中前適時打で1点を追加。更に逆井の左前適時打で一点を追加する。スコアは7-4.初めてリードする展開に持ち込んだ。


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木更津・栗林

 5回の表、一死二塁で、二打席連続で適時打を打っている栗林に回る。及川は変化球を駆使して、栗林を空振り三振。そして代打の神谷もストレートで空振り三振に打ち取り、初めてピンチを切り抜けた。

 
 5回の裏、一死満塁から三國の右中間を破る走者一掃の二塁打で一挙3点を入れ、10対4と突き放す。三國は右中間へ二塁打、左越え二塁打、右中間越え三塁打と3打数3安打5打点の大活躍。広角に打ち分けられる打撃センスは健在だ。

 その後、1点ずつ取り合って、最後は木更津総合の三番手・高谷が締めてゲームセット。木更津総合が県大会出場を決めた。

 試合を制したが、投手陣に不安を残す結果に終わった。木更津総合は二季連続で打撃戦の末、競り負けている。いずれも投手陣の乱調が負けにつながった。だからこそ投手・守備を磨きあげて、平野が台頭。ゲームメイク出来る投手が一枚増えたと手応えを掴んで臨んだ地区予選だった。その平野が3回途中でノックアウト。指揮官の計算が外れた試合であった。先発がノックアウトされても、あっさりと取り返すことが出来るのが木更津総合打線の強みといえる。

しかし五島監督は
「やはり投手ですね。投手がしっかりしなければ、自分たちのリズムを掴む事は出来ません」
改めて投手陣の不安定さが課題となったゲームであった。野球は勝利の7割が握っているといわれるスポーツ。
打線が優れていても、千葉県を勝ち抜くには計算出来る投手陣ではなければならない。

「今日のようなゲームではなく、投手を中心とした安定感のある戦いが理想」
指揮官が理想とするゲーム展開は、ブレが少ない安定感のある強いチームになることだろう。28日から始まる県大会で手応えを掴んでいくか注目していきたい。

(撮影・文=河嶋宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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