東海大山形vs大湊
東海大山形が15得点で圧勝
山形2位の東海大山形と青森2位の大湊の対決だ。試合前の練習では接戦になると思った。大湊のノックを見るとボール回しから中々鍛えられている様子が伝わってくる。捕ってから投げるまでの動作は素早く、ただベースにたっているのではなく、ボールを待つ選手はベースから離れて自分の下にボールが来たらベースに入ってボール回しを続ける。ノックもきびきびとこなし、鍛えられた好チームに映った。エースの七戸は常時130キロ前後の速球とスライダーを投げ分ける右腕。1回の表裏は無得点で好試合になっていく予感があった。
しかし2回の表に七戸は崩れる。2回は被安打3四死球3で一気に3点。さらに3回の表にも4点を失い、降板。その後も打線が止まらず、5回まで15点を入れる猛攻であった。
東海大山形はエースの飯屋崎が1失点完投。東海らしいセットポジションから始動し、横の動きが綺麗な投手だった。ストレートは常時130キロ前半は出ているだろう。キレの良いカーブ、スライダー、チェンジアップを投げ分ける好投手で、この時期では最小失点が凌げる好投手。打ち取り方を覚え、ストレートの球速、球威を伸ばしていったら楽しみだろう。
東海大山形は合計で13安打。打線のレベルはかなり高いものがあった。十三安打を打っているのだから、さぞ体格の良い選手が集まっているだろうと思う。しかし東海大山形のレギュラーは小さい。4安打を打った小林烈は167センチ68キロ。2安打を打った宮里は162センチ72キロ。160センチ台のスタメンが3人もいた。180センチを超えているのは4番の安井(187センチ100キロ)と9番菊池(181センチ70キロ)だけだ。上背はなくても、しっかりとしたスイングができる選手が多く、驚かされた。大湊の投手陣は悪くない。普通のチームならば抑えられるほどの力量はあるが、東海大山形の打撃力が予想以上なのである。
大湊の七戸にとっては良い経験になった。打撃レベルの高い相手と対して自分の足りないものは分かる。彼の場合は相手の間に合わして投げてしまうことが一番の課題であった。球速、コントロール、変化球ではなく、いかに自分のペースに持ち込み、相手のタイミングを崩し、嫌らしい投手になっていくか。その考えを下に自分の投手像を作りあげていかなければ青森山田と光星学院の打線を抑えることは出来ない。その壁はとてつもなく大きい。しかしその壁を乗り越えた時。上の世界が切り開かれる。ぜひ打たれた経験を糧にして、来年は二大勢力を脅かす本格派右腕に成長を遂げることを期待している。
(文=河嶋宗一)